ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

8月に読んだ本

張兵『訪日中国人から見た中国と日本:インバウンドのあり方』(日本僑報社)
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もう少し突っ込んだ分析が読みたかったんですが、そもそもこの分野に学術的な分析がろくすっぽなかったことを思えば干天に慈雨の感あり、よしとします。ビザ緩和が最大の要因ということですかね。日本政府ももちろん観光の振興を進めていて、ドイツのロマンチック街道でしたっけ? あれのような
ルート開発の話は、先月読んだ『観光学』にもありました。


林望『増補 書藪巡歴』(筑摩書房ちくま文庫)
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あまり例を見ない書誌学の随筆です。ときおり、フリーランスになってから、しだいに偏屈になっていく書き手がいます。やはり独立自営でやっていくのはたいへんだねえ、と他人事のように思っています。リンボウ先生はこの増補版でむしろおだやかになっておられて、なんだかほっとしました。本書は書物のことだけでなくリンボウ先生の指導者についての回想も多いのですが、どちらの話題であっても、私同様に書誌学がいったい何なのかよくわかっていない人にとっては学問の案内になっていてありがたいです。そういえばフランス文学には、「生成研究」という分野がありますよね。ああいう草稿研究は日本文学でもなされているんでしょうか。


清水亮『教養としてのプログラミング講座』(中央公論新社中公新書ラクレ])
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プログラミングとはどんなもので、また人間の生活といかにかかわっているかについて解説した本です。教養として勉強してもいいけど、考え方にプログラミングの手法を取り入れたいだけなら、プログラミングじゃなくて論理学や法学でもいいし、大学でなにかしらまじめに受講していればそれでじゅうぶんな気もします。プログラミングのとっかかりになりました。


岡田睦『明日なき身』(講談社文芸文庫)
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この著者の存在を知ったのは≪新潮≫でです。生田耕作の没後十年でお弟子さんが寄稿しておられたので、それ目当てで買ったら、下流老人の日常をつづった貧乏くさい話も載っていたのです。三度目の妻に捨てられてからというもの修理もままならないあばら家に暮らし、スーパーで買った安い太巻きを袋詰めするカウンターでほおばって店員に注意される、みたいな挿話ばかりでつよく印象に残っていました。二千十年年以降消息不明、ということは担当編集者も所在がわからなくなったのでしょう。それもそのはず、などと言っては変ですが、収録された諸作品を読む限り、生活保護をもらいながら、いわゆる「貧困ビジネス」にからめとられて居所を転々をしていたようです。これじゃ離婚されてもしょうがないよねえと思わざるを得ない性格・言動が作品にところどころ出て来ます。ですが、著者はそんなことをつゆほども自覚していないのかわきまえていての矜持なのか、なんともとぼけた味わいでそこにひきこまれました。私小説もまた虚実は皮膜の間にありますから、いちいち重ね合わせたり、真に受けたりする必要もありませんけどね。自分が貧困小説を好きなことを再確認しました。


アンガス・ディートン『大脱出:健康、お金、格差の起原』(みすず書房)
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著者の一家がまさに「大脱出」を成し遂げた人なんだそうです。祖父は農業をあきらめて炭鉱夫になり、父は夜間学校に通って土木技師になります。そして著者は名門パブリックスールの特待生になることができ、ケンブリッジ大学に進学します。著者の子供たちはプリンストン大学を卒業後に金融関係の仕事をしているそうです。
 本書は人類がいかにましな暮らしをするようになったかを有史以前からたどります。後半だんだんとつらくなります。米国は千九百七十年代から成長が鈍化しますが、それでも成長は続けているとはいえ、実際にその恩恵にあずかっているのは一握りの富裕層だけで、貧困層は取り残されています。このあたりは金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)と重なります。また、アフリカ諸国にとっては援助がかえって「大脱出」を阻害している、と。支援金は直接国民に渡されるのではなくて政府機関を通すために、大統領宮殿が豪華になっていく。困ったことに、援助の減少と一人当たりGDPの成長の時期が一致しているのだとか。そういう時期から中国による援助が増えていることはハワード・W・フレンチ『中国第二の大陸アフリカ』(白水社)に書いてありました。
 経済成長と命を救うこととに因果関係がないのにびっくりしました。ハイチのように経済が破綻した国でも幼児死亡率は減少しているようです。近年の仮想空間では「経済政策が第一」みたいな風潮が幅を利かせているような印象がありましたが、そして確かに経済成長は重要ではあるけれども、やっぱり死亡率には医療政策が第一という当たり前新書です。
 ネパールはアジアでも最貧国なんですね。これ*1を見るとベトナムやらミャンマーやら日本への留学生が多い国、日本語学校の設立が急増した国が軒並み入っていて、なるほどそういうことかと合点がいきました。


マリオ・ヂ・アンドラーヂ『マクナイーマ:つかみどころのない英雄』(松籟社)
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しっちゃかめっちゃかな話というとブレーズ・サンドラールの『モラヴァジーヌの冒険』(河出書房新社)を思い出しますが、それのさらに上を行くはちゃめちゃぶりでした。ほんとうにつかみどころがない。口癖は「あぁ!めんどくさ!……」で、これは原文では何なんでしょう。
こういうのも出ているけれど、訳者がねえ。
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エドゥアルド・メンドサ『グルブ消息不明』(東宣出版)
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これまたとにかく楽しい本。なんでも作者がはじめてパソコンで執筆した小説なんだそうで、複製と貼付の効果がこれでもかと炸裂していました。ガウディと「コビーの冒険」しか印象にない街だったんですが、どちらも出てこなくて。

7月に読んだ本

洪金寶『おじいちゃんはデブゴン』

映画『おじいちゃんはデブゴン』予告
 香港映画も「ドラマ」を作れるようになったのだなあと感慨を覚えました。サモ・ハンお得意のギミックももちろんでてきます。見てよかった。


陳木勝『コール・オブ・ヒーローズ:武勇伝』

『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』映画オリジナル予告編
 敵役がいい。何も論理的一貫性がなく、ただ悪を楽しむ造形になっています。彭于晏をはじめてハンサムだと思いました。ひげを生やしたほうが男前です。深読みしてもしなくてもスカっと快適な映画でした。


福嶋伸洋『リオデジャネイロに降る雪:祭りと郷愁をめぐる断章』(岩波書店
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 たぶんオリンピックに合わせた本。著者が留学したのは十余年前だそうですが、その思い出が鮮やかに綴られて、眼前に浮かぶようだ、と書いてしまっては月並みにすぎますね。軍事政権の苦い記憶がボサノバにもつきまとっているあたりも興味深いのですが、著者の帰国後の話もよいです。日本にリオを見つけることができる才能がうらやましい。


「らくごDE全国ツアーvol.5:春風亭一之輔のドッサリまわるぜ2017」

朝 七「初天神
   「代書屋」
   「夢見の八兵衛」
  中入り
   「明烏

 前座さんはちょっと聞き苦しかったです。「代書」と「夢八」は当代なら雀々さんのが好きです。一之輔さんも一之輔さんらしいアレンジでうまく消化してらっしゃいました。「明烏」は速記で読んだことはあれど音で聞くのははじめてでした。この噺、やはり好きになれません。他の廓噺は好きなんですが。うぶな人に興味がないんでしょうね。


高口康太『中国経営者列伝』(星海社新書)
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 中国企業のいくつかは日本でもすっかり知られるようになりました。その人たちの立志伝です。この新書はふだんあまり本を読まない若者向けなんでしょう。受像器から流れるお笑い番組で、笑いどころをわざわざ字幕で強調するものがありますが、あれに似た編集がされています。私が対象読者じゃないだけなんですけどね。著者がはじめに予告している通り、経済成長のおもしろさを伝える本です。楽しみながら読めました。目的がそれですから、光あるところに影もある、「マットレス文化」で死者が出たなんて無粋な話はでてきません。読むだけならけっこうですが、こういう人たちの会社で働くのは、「それこそ僕には無理だなあ」((c)村上龍)


溝尾良隆『観光学:基本と実践』(改訂新版、古今書院)
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 日本と世界の観光地を具体的に紹介しながら理論を学べる本です。日本国はいよいよ産業が立ち行かなくなってきたので「観光立国」を大きく打ち出すようになりました。ところが、日本国民は長期休暇をとりませんから、日本の観光地は一泊二日の旅行に最適化してしまいました。個々の施設がてんでばらばらに展開し、自動車の利便性を優先したために、観光資源を維持・発展させることができず、諸外国にあるようなリゾート地を作ることに失敗しています。たしかに二、三週間長期滞在したくなるような観光地はちょっと思い当たりませんよね。英国のスコットランド湖水地方へバスで行って、で何もせずに過ごす例が挙げられていますが、それみたいな休暇旅行の土地が、あまり。京都なんかは碁盤の目の中を自動車乗り入れ禁止地区にしてもよかったんじゃないかと、若いころは思っていました。千九百七十年くらいの写真を見ると、まだ景観の統一性を保てていたのに、それが今どうなっているかは皆様もご存じのとおりです。


久保田進彦ほか『はじめてのマーケティング』(有斐閣)
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 ダイソンやサンリオといった有名企業の事例がたくさん紹介してあって、「ああなるほどそういうことか」と納得しながら読めました。初めの一冊としてよくできていますが、これだけで研究計画を立てるのは厳しいでしょうね。続きの一冊が必要です。商品を売るために、あの手この手いろいろあることを教えるための本ですから、この本に文句をつける筋合いのものではまったくないけど、たとえば、事例が上げれらている企業のなかには、労働環境が劣悪なことで有名なところもあってですね、そうした方面を扱わない研究分野だから仕方ないとはいえ、やはり「山賊の論理」((c)オッカム先生@oxomckoe)だよなあ、と思わないでもないです。莫大な収益を上げた要因は、もしかしたら販売戦略だけじゃなくて、コストカッターがいることも大きいかもしれないわけで。
 コストカッターで思い出しましたが、震災後に店間移動を廃止した書店がありました。それじゃあナショナル・チェーンである意義がないじゃん、と当時は懐疑的でしたが、あれも、買収されて以降のことだから、本社からコストカッターを送り込まれていたのかもしれません。契約社員は残業するなという通達が出されたのもあの頃でしたし。

6月に読んだ本

asa10.eiga.com
受像器ではなんども見ました。劇場で見るのははじめてでした。大画面だから気がつくこともありますね。駅で待ち伏せているところに怪しい男が入ってくる。その男は柱を背に新聞を読みはじめるのですが、男が現れたとき、床を拭いていた掃除夫がじろじろ男を見ていました。


小嶋英夫ほか編『成長する英語学習者:学習者要因と自律学習』(英語教育学大系6、大修館書店)
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 第4章「学習ストラテジーとメタ認知」、第6章「学習者と指導者の自律成長」だけつまみ読みしました。メタ認知的活動(計画する、注意を集中する、自己観察する、自己評価する)を行うことが語学習得には重要だから、教室授業で明示的に指導することが望ましい。「学び中心」の授業では教師も生徒も自らの学習に責任を持ち、生涯学習者であることが期待されている。

 たしかに先進国でありつづけるためには生涯学習がとても大切だと思いますが、まあ今のところ失敗していますよね。勉強はたぶん自然に反した行為なので仕方ないです。本書で何度か「生きる力」が触れらています。文部科学省によると、このようなふんわりした概念のようです。
確かな学力


國司航佑『詩の哲学:ベネデット・クローチェとイタリア頽廃主義』(プリミエ・コレクション68、京都大学学術出版会)«イタリア学会誌»第66号に土肥秀行先生の書評が掲載されていますから、そちらをご高覧ください。いずれ以下に公開されることと思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/studiitalici/-char/ja/www.jstage.jst.go.jp


佐野直子『社会言語学のまなざし』(三元社)
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 一般に教科書と聞いて思い浮かべるものとちょっと違っていて、独特な概説書に仕上がっています。この手の本にはさらに知見を深めるための読書案内がついているものですが、それもプリモ・レーヴィの『休戦』だったりして。日本語教育能力検定試験の受験勉強をしたときに言語学の初歩の初歩を勉強したことで、それほど支障なく理解できたように思います。
 社会言語学は、従来の言語学がそれぞれの言語を総体として扱ってきたために見えなかった部分に注目する研究分野である、という理解でいいのでしょうか。私は日本語を話すとき、場面によって話し方が異なりますし、配慮や戦略を変えています。また、日本社会にも日本語が母語じゃない人がたくさんいて、手話をつかう人もそれに含まれます。多くの人は単一言語空間だと思い込んでいるだけなんですよね。

5月に読んだ本

細川英雄ほか編『複言語・複文化主義とは何か:ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』(くろしお出版)
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 日本の外国語教育でよく見る主張に対する違和感の正体はこれでした。
Can-DoっていうときCEFRっていうのやめたらみんな幸せにならないかなtam07pb915.wordpress.com
ヨーロッパ言語共通参照枠に触れなきゃいいのに、can-doリストやタスク先行シラバスを持ち出すときに決まっていっしょにするものだから、理念無視かよ、と思って苛苛が募っていました。第6章で細川が問題提起していますが、私も同意します。
 コミュニカティブ・アプローチが導入された際に、そもそもコミュニケーションとは何かについて議論されないまま、具体的な方法ばかり取りざたされ、文型練習からロールプレイによる定着へと進んだと、細川は指摘します。CEFRの根本理念は四つあります。

ヨーロッパにおける個人一人ひとりのなかにある複言語・複文化性を認めること、そのことを基本にした個人間の相互理解が重要であること、そのための市民性の確立が必要であること、そして、そうした市民によるヨーロッパ社会形成をめざす(154・155頁)

ことです。その先には戦争のない平和な社会の実現があると言っては穿ちすぎでしょうか。とまれ、日本社会では、何のための言語教育かが含意されずに、日々、方法の模索ばかりが行われています。


ハワード・W・フレンチ『中国第二の大陸アフリカ:一〇〇万の移民が築く新たな帝国』(白水社)
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 著者は最後まで慎重な姿勢を崩しません。それでも超絶おもしろい。文化大革命時に青春時代を過ごした「失われた世代」が人生の再起をかけて移住し、近ごろの若いもんは根性がないなんて言っているけど、当の若者たちも本国の苛烈な競争社会に耐えかねて移住し、一旗揚げようと目論んでいる。アフリカ人が成功するための第一歩は路上の小商いだけど、この分野にまで中国人が進出しているものだから、わずかにあった地場産業がどうなっているかは言うまでもありません。
 著者も指摘する通り、余剰人口を外へ吐き出してその地で食糧増産を図る手法は、かつての満洲国を髣髴とさせます。そして中国ばかりでなくインドも乗りだしているらしきことが本書でチラと触れられています。
 かつてはレバノン人やフランスの草刈り場だったところへこうやって新興国がやってきた。どんな事業でもすべて自分たちが仕切って現地人には最底辺の仕事しか回さないと言って、不満がたまっているようです。中国人の言い分としては、現地人はマネジメントができないから、です。教育の問題は深刻ですね。現地の政府首脳部が私益しか考えていないことも大きな要因です。天然資源を外国に売り飛ばした結果として立派な大統領宮殿ができるばかりで、売却益を人材育成に回しません。
 アフリカの夢ももはやかなり小さくなって、後発組は露天商で終わってしまうようですが、さてどうなることやら。  


池田秀三『自然宗教の力:儒教を中心に』(叢書現代の宗教16、岩波書店)
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 専門家の発言だからといって鵜呑みにしてはいけないことぐらいもちろんわかっているのですが、それでもなかなかどうして、判断を誤ることが多々あります。KJ御大の『儒教とは何か』にひどく感銘を受けた過去の自分をぶん殴ってやりたい。
 著者は宗教の要件を(1)超越的存在者に対する信仰、(2)教団組織の存在すること、の二点とし、「儒学を宗教とは認定しないけれども、儒教に宗教性はある」(179頁)との立場をとります。宗教とまでは言えない、というわけです。
 儒教宗教説、非宗教説のそれぞれを検討したうえでの結論です。「いかなるわけか加地氏は先行業績として山下(引用者註:龍二)氏の名を挙げていない」(100頁)時点でいろいろと察してしまいます。

私はなお定説に与したく思う。その理由は、定説の読み方のほうが素直、換言すれば、山下氏の読みは不自然な感じがどうしてもするからである。それはまったく感覚的なものでしかないが、私は古典の読みにおいては感覚は極めて重要だと考える(文法的には成り立ち得ても、あるいは理屈はいちおうと通ったとしても、不自然だと感じさせられる読みはまず正しくはない、というのが私の基本的立場である)。(112頁)

という件りを読んで、親方の口癖、「真実はいつも単純で、素直で、強い」を思い出しました。


靜哲人『英語授業の大技・小技』(研究社)
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 ここまで手の内をさらしてくれるのか、と驚きました。著者が英語教師として実践したテクニック(今風に言えばTIPS)の数々が紹介されます。
 1.遅刻させないためには 2.分かりませんと言われたら 3.居眠り禁止の3段階方式 47.さくさくやるぞ小テスト 52.これがベストだテスト返却 53.再試あの手この手 などは言われてみればそうだよね、ですぐ使いたくなります。
 それと、発音の重要性に気づかせてもらいました。これまたよく言われることではありますが、発音できない音は聞き取れないわけでして、シャドーイング大事。最近はやりの協働学習ないしピア・ラーニングも、靜先生は二十世紀末から実践してらしたんですよ。

イタリア語の読解教材その2(シリーズ中華教材③)

pluit-lapidibus.hatenablog.com
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北京语言大学出版社から、イタリア語の読解教材が出版されていました。
Marco Dominici,Cinzia Medaglia『意大利语分级阅读』

《意大利语分级阅读》系列是从意大利原版引进的分级阅读图书。全套分4册,依照欧洲语言参照框架分级结辑,内容均为当代原创短篇小说,故事情节生动感人。每个故事都配有生动的精美插图,以及声情并茂的专业朗读音频。故事配有读前思考和读后活动,用以检验阅读效果。各篇故事提供注释及译文,以扫清阅读障碍,辅助学习、欣赏阅读内容。可与《新视线意大利语》系列教材配套使用。*1

大意をとると、「『レベル別イタリア語読解』シリーズはイタリアの原書から引用したレベル別読解図書です。全4冊で、ヨーロッパ共通言語参照枠に準拠してレベル別に編集しました。内容はどれも現代の短篇小説で、物語の筋書きに感動することでしょう。すべての話に生き生きとした美しいイラストを配し、声がよく情感たっぷりなプロの声優による朗読音源も附いています。各話とも読む前と読んだ後の活動を用意して、精読効果を高めます。註釈と訳文もありますから、すらすら読め、学習の助けにもなり、内容も鑑賞できます。『Nuovo Progetto Italiano』シリーズ*2の副読本にも。」

第1輯はA1-A2、第2輯はA2-B1、第3輯はB1-B2、第4輯はC1-C2に合わせているようです。未読ですが、そのうち取り寄せたく思っております。

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4月に読んだ本

亀井秀雄『明治文学史』(岩波書店)
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 3月末に読みました。大学の何かの授業で教科書に指定されていましたから、書名は知っていました。大学生協の購買部でパラパラと立ち読みして、いずれ読もうと思ったはいいが、いつしか品切れ重版未定。もしかしたらジュンク堂書店那覇店にまだ在庫があるかもしれません。
 先月読んだ小峯和明・編の『日本文学史』(吉川弘文館)と趣向は同じです。近代的文体の誕生や形成をたどるのでなく、いくつかのトピックを立ててその系譜を探る方法がとられています。「郊外の物語」を見てみましょう。ここでは国木田独歩の『武蔵野』が分析されています。『武蔵野』の語り手は村人とはほとんど没交渉ですが、読者に対しては饒舌に呼びかけています。本作はエッセイですから、それは掲載誌«国民之友»の読者との対話であり、読者との対話を通して近郊散策のライフ・スタイルを作り出そうとするテクストなわけです。『欺かざるの記』や『あひゞき』から引用するさいは自然との親和感のみを残し、強く印象づける操作を行っています。舞台となっている渋谷はもちろん未開の地ではなくなかなか開けた場所でした。そうした景観はすべて捨象されて、雑木林と田園ばかり描写されます。都市住民、「知的遊民」の視点から、景観というテクストが読み替えられたことになります。
 

奥村美菜子ほか『日本語教師のためのCEFR』(くろしお出版)
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 ちょっと出版意義がよくわからなかったので、途中で読むのをやめました。CEFRは複言語・複文化主義に根差してあると、本書にもはじめのほうで書かれています。それがなぜか後半になると、can-doシラバスの話に矮小化されていて……。ヨーロッパ言語共通参照枠の理念を日本に適応するなら、アイヌ語ポルトガル語、中国語、韓国・朝鮮語なども学習しようという話になるんじゃないかと思います。


慶應義塾大学教養研究センター・監修『データ収集・分析入門:社会を効果的に読み解く技法』(慶應義塾大学出版会)
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 統計分析の用語と用法を知りたかったのですが、本書でそれは前提とされていて、説明なしでした。残念。



鴻野豊子ほか『新人日本語教師のためのお助け便利帖』(翔泳社)
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 なにも大判にしなくてもと思いますが、この業界の新人は中高年が多いので、老眼でも読みやすい本を目指したのでしょう。私にはあまり必要ない本でした。日ごろ目次に書いてあることで悩んでいる人はどうぞ。


唐澤一友『英語のルーツ』(春風社)
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 名詞の副詞的用法(例:I go to the hospital today.のtoday)とか、所有格のアポストロフィsもあるしN1 of N2もあるしとか、ああいったことどもは文法解説書を読んでも、そういうものであるとしか書いていないことがありますが、英語史の本を読むと、由来がわかってすっきりします。三人称単数現在のsだって、フランス語やドイツ語などを勉強すれば、ああもしかして英語も昔は人称変化していたのかしらと想像しますよね。数ある類書の中から本書を選んだのは、たまたまです。装幀がしゃれていて目につきました。英語の綴字と発音の不一致はなんとかならんのかと思っていたものです。あれも歴史的な経緯があってのこと。また、インド・ヨーロッパ語族のなかで英語だけが文法を単純にしたわけでなく、デンマーク語・ノルウェー語・スウェーデン語・オランダ語などもずいぶん活用が簡素になっているのだとか。

 「英語史」で検索したら伊藤サム氏のウェッブサイトが出てきました。おおまかなことはここにありますね。
英語の歴史


ジャン=ピエール・ジュネ監督『アメリ』
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 十数年ぶりに見ました。九十年代の首都圏は、アニエスベーの服を着て『ポン・ヌフの恋人』の公開初日に駆けつける青年がいたそうです。そういう❝フランスかぶれ❞の時代の掉尾を飾る作品かもしれませんね。これがフランスでも売れたということは、おフランスにも「非リア」の人が多いのでしょうか。


水本光美『ジェンダーから見た日本の教科書:日本女性像の昨日・今日・明日』(大学教育出版)
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 著者の問題意識に関しては同意します。もはや高齢者しか使用しない「女ことば」を教える意義は低いでしょうし、妻が専業主婦で子供が2人いる家庭を教科書に出しても日本の典型的な家庭とは言えないでしょう。
 ただ、いくつか気になるところがあります。

 メディアからも女ことばは消えてしまう時代は、もうすぐそこまで来ているのではないかと推測されるである。
 筆者がそれを見届ける日まで元気でいられることを願うばかりだ。

のように、研究論文に価値判断を差し挟まれてもねえ。
 テレビドラマや会話教材で女性の登場人物が感情的な場面になると主張度の高い女性文末詞を用いられます。
(例:A「お父さんな、会社をやめてユーチューバーになろうと思うんだ」
   B「何言ってんのよ」)
これは現実の女性会話にはまったく登場しないそうです。著者は現実との乖離を理由に使うべきでないと主張します。この「スイッチ型」の女性文末詞が出現するのは、テレビドラマの脚本や会話教材の台本が「書かれたもの」だからかもしれないと私は推測するのですが、特にこの点についての検証はありませんでした。皆様ご存じのとおり、日本語の言文一致体は必ずしも話し言葉と一致しません。「~なんだぜ」と発話する男性はごく少数でしょう。
 現実に即していないからこそ教科書のジェンダー観を批判しているのに、最終章で提案する登場人物例が希望的観測に満ちている点も残念です。妻の職業が薬剤師であるとか、子供は2人とか、女性上司の場面を入れろとか。
 現実社会に合わせるなら、小売・サーヴィス業の場面で外国人労働者を登場させることも必要かもしれません。
 このような本が不幸なのは、手に取るのはすでに問題を認識している人であって、読んだほうがいい人の視界には入らないんですよね。それでも日本社会はほんの少しずつよくなっているように感じています。


倉科岳志『イタリア・ファシズムを生きた思想家たち:クローチェと批判的継承者』(岩波書店)
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 二十世紀初頭のジョリッティ時代にイタリア経済は大発展します。いっぽうで繁栄から取り残された人たちもいて、この人たちのエスタブリッシュメント層への憎悪をうまく利用したのがファシズムでした。マルクスフロイトニーチェ以降、キリスト教は人々が拠って立つ基盤でなくなります。だから、国家を信じよと迫るファシズムと、自由を拠り所にしたクローチェと、クローチェは上の方しか見えていないとする継承者たち。この本、装幀がしゃれています。


金成隆一『ルポ トランプ王国:もう一つのアメリカを行く』(岩波書店)
 日本も米国も変わらんなあと思いました。昔だったら、高卒でも家族を養って休暇旅行に出かけられたけれど、今は大学を出て働けど働けど楽にならざる。老人たちは製造業は海外に出て行ってサーヴィス業の時代になったのについていけず、偏見を改めることのできない。政治家は既得権益者とつるんでいる(と彼らは思っている)ので、いちど何のしがらみのない人に任せて改革してもらいたいと願う。
 どうすればよかったんでしょうね。
 もう製造業の時代は終わった、みんなITへ行け、などと強制できるものでもないでしょうからね。地方都市はもうだめだ、都会へ移住しろ、と強制できるものでもないでしょう。
 青臭い意見ですが、教育の力が試されているような気もします。

好きな張韶涵

 一時期、中華圏や韓国の音楽を聴くのが好きでした。あちらの流行歌はどうもバラードが好かれる傾向にあるようで、大陸で出会った人たちの間では日本の歌手ならKiroroの人気があります。私はロックとか軽快なポップスのほうがありがたいです。で、今回はアンジェラ・チャンの歌を勝手に順位づけします。


1.頭號甜心

張韶涵 Angela Zhang - 頭號甜心 (官方版MV)

2.C大調

張韶涵 Angela Zhang - C大調 (官方版MV)

3.愛上愛的味道

張韶涵 Angela Zhang - 愛上愛的味道 (官方版MV)

4.我戀愛了

張韶涵-我戀愛了

5.喜歡你沒道理

張韶涵 Angela Zhang - 喜歡你沒道理 (官方版MV)

五曲に限ると「香水百合」が落ちてしまう……。あと、「真愛冒險」は官方版がないので入れませんでした。


C-POP普及工作員tenrinrinさんに感謝しています。あなたがいらっしゃらなければ范曉萱&100%も范瑋琪も知ることができなかったと思います。
tenrinrin.blog94.fc2.com


范瑋琪 Christine Fan - 哲學家 (官方版MV)


2011年网络春晚 歌曲《范范之辈》 范玮琪| CCTV春晚