ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

1月に読んだ本

ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ『トランス=アトランティック』(国書刊行会) www.e-hon.ne.jp セリーヌの『世の果てへの旅』とゴンブローヴィッチの『フェルディドゥルケ』が大好きです。読んだ後の人生でもいくらか影響を受けて、とにかく逃げ出してばかり…

12月に読んだ本

池内紀『闘う文豪とナチス・ドイツ:トーマス・マンの亡命日記』(中央公論新社[中公新書]) www.e-hon.ne.jp 池内紀はこういうものを書かせたら本当にうまいと思います。日記を紹介する形をとりつつも、見事な評伝になっています。なんというか池内先生の書き…

11月に読んだ本

斎藤泰弘『ダ・ヴィンチ絵画の謎』(中央公論新社[中公新書]) www.e-hon.ne.jp 著者の主張によれば、これまでのレオナルド研究は彼の自然観が一貫したものとみなす誤謬を犯しています。レオナルドは新プラトン主義やスコラ哲学などをつまみ食いしながら独自の…

10月に読んだ本

青木幸弘『消費者行動の知識』(日本経済新聞出版社[日経文庫]) www.e-hon.ne.jp たぶんどちらかと言うと、商品なりサービスなりをどうやって売ったらいいか考えながら働いている人にとって役に立つ本です。私がこの分野に明るくないせいですが、どのようにし…

9月に読んだ本

黒田龍之助『その他の外国語エトセトラ』(筑摩書房[ちくま文庫]) www.e-hon.ne.jp 近年の黒田先生の書き物はいさかさとげとげしくなっているように感じられて、ああやはりフリーランスで矜持を保ったまま生きていくのは難しいのかなあ、などと失礼きわまりな…

8月に読んだ本

張兵『訪日中国人から見た中国と日本:インバウンドのあり方』(日本僑報社) www.e-hon.ne.jp もう少し突っ込んだ分析が読みたかったんですが、そもそもこの分野に学術的な分析がろくすっぽなかったことを思えば干天に慈雨の感あり、よしとします。ビザ緩和が…

7月に読んだ本

洪金寶『おじいちゃんはデブゴン』 映画『おじいちゃんはデブゴン』予告 香港映画も「ドラマ」を作れるようになったのだなあと感慨を覚えました。サモ・ハンお得意のギミックももちろんでてきます。見てよかった。 陳木勝『コール・オブ・ヒーローズ:武勇伝…

6月に読んだ本

asa10.eiga.com 受像器ではなんども見ました。劇場で見るのははじめてでした。大画面だから気がつくこともありますね。駅で待ち伏せているところに怪しい男が入ってくる。その男は柱を背に新聞を読みはじめるのですが、男が現れたとき、床を拭いていた掃除夫…

5月に読んだ本

細川英雄ほか編『複言語・複文化主義とは何か:ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』(くろしお出版) www.e-hon.ne.jp 日本の外国語教育でよく見る主張に対する違和感の正体はこれでした。 Can-DoっていうときCEFRっていうのやめたらみん…

イタリア語の読解教材その2(シリーズ中華教材③)

pluit-lapidibus.hatenablog.com pluit-lapidibus.hatenablog.com北京语言大学出版社から、イタリア語の読解教材が出版されていました。 Marco Dominici,Cinzia Medaglia『意大利语分级阅读』 《意大利语分级阅读》系列是从意大利原版引进的分级阅读图书。…

4月に読んだ本

亀井秀雄『明治文学史』(岩波書店) www.e-hon.ne.jp 3月末に読みました。大学の何かの授業で教科書に指定されていましたから、書名は知っていました。大学生協の購買部でパラパラと立ち読みして、いずれ読もうと思ったはいいが、いつしか品切れ重版未定。も…

好きな張韶涵

一時期、中華圏や韓国の音楽を聴くのが好きでした。あちらの流行歌はどうもバラードが好かれる傾向にあるようで、大陸で出会った人たちの間では日本の歌手ならKiroroの人気があります。私はロックとか軽快なポップスのほうがありがたいです。で、今回はアン…

3月に読んだ本

榎本隆司・編『はじめて学ぶ日本文学史』(ミネルヴァ書房)はじめて学ぶ日本文学史 (シリーズ・日本の文学史)作者: 榎本隆司出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2010/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る中村光夫『小説入門』(新潮社[新潮文庫…

(人文・社会科学向け)研究テーマの見つけ方

sociology.jugem.jp 「研究題目」でも「研究課題」でも「研究テーマ」でもなんでもいいですが、私はこれを見つけるのが非常に苦手です。日本以外の先進諸国には、就職に有利だからという理由で大学院進学率が上昇している国もあるようです。ということは、と…

2月に読んだ本

映画ですが、アントワーン・フークア監督『マグニフィセント・セブン』 映画『マグニフィセント・セブン』予告編 松永澄夫・編『知識・経験・啓蒙【18世紀】』(哲学の歴史6、中央公論新社)哲学の歴史〈第6巻〉知識・経験・啓蒙―18世紀 人間の科学に向かって…

1月に読んだ本

«日本語学»2016年11月特大号(明治書院) www.fujisan.co.jp 年末に読みました。特集は「手書きの字形を考える」でした。版元のウェッブ・ページによると、「世界言語の中の日本語、史的変遷、言語芸術における特徴など、多彩な視点から日本語研究の最先端を広…

12月に読んだ本

必要に迫られて、精神分析批評をちょっと齧ることにしました。若いころにも、川本晧嗣ほか編『文学の方法』(東京大学出版会)で批評の実践例を読んだことがあります。「なにいってだこいつ」以外の感想が浮かびませんでした。このたびは大浦康介・編『文学を…

11月に読んだ本

町田和彦・編『華麗なるインド系文字』(白水社)華麗なるインド系文字作者: 町田和彦出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (4件) を見るウィキペディアを眺めていると、「සිංහල」や「မြန်မာဘာသာ」とい…

10月に読んだ本

フェデリコ・ガルシーア・ロルカ『血の婚礼』(未來社)血の婚礼 (てすぴす双書 49)作者: F.ガルシア・ロルカ,山田肇,天野二郎出版社/メーカー: 未来社発売日: 1954/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 一般に入手しやすいのは岩波文庫版で…

オンラインで自宅学習

大学受験と言えば、二十世紀末は予備校が駅前のビルを一棟丸ごと使って、その大教室に浪人生がすし詰め、といった印象がありましたが、二十一世紀になりますと、学習塾が雑居ビルのひとつの階を借りたところで現役高校生が専業講師の映像授業を受講ないし大…

外国人技能実習生を受け入れる企業の問題点

問題を起こす企業は、過疎地の零細企業である。法違反を摘発し勧告を求めれば企業はほとんどが倒産する。*1 倒産した事業主は新たな受け入れ先を探す必要があると、厚生労働省は明記しています。*2けれども、そう簡単に次の受け入れ先が見つかっていないらし…

「意識を変えるのに効果があるから○○を導入しましょう!」その2

その1はこちら。 pluit-lapidibus.hatenablog.com ちなみに昨晩の懇親会で一番嬉しかったのは、宴会の最後に「せっかくの命を頂く食事、食べ残しはもったいないから、最後にみんなで一気に食べましょう」と声を上げたら、みんなが賛同してくださって残って…

9月に読んだ本

東京YMCA日本語学校・編『入門日本語教授法』(創拓社) 入門 日本語教授法作者: 東京YMCA日本語学校出版社/メーカー: 創拓社発売日: 1992/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る初級文法の分析、留意点と導入の仕方や練習法からなります。斜めに読ん…

法律上・契約上の根拠がないのに「説明責任を果たせ」と言うような暴論

この「説明責任」という用語は、マスコミ関係者に限らず日本で広く濫用されているものですが、これは、日本人の「ルール感覚欠如」を端的に示す典型例のひとつです。 日本将棋連名の理事会に「そうした責任がある」(説明する義務がある)という根拠は、いっ…

フラッシュモブのせいで離婚

旧聞に属する話題ですが、detail.chiebukuro.yahoo.co.jp この「愚痴」から、伊藤和夫『テーマ別英文読解教室』(研究社)の第7章「レストランの悲劇」に収録された英文を思い出しました。立教大学の入試問題だそうです。出典はKatharine Brushの「Birthday Party」…

火傷の応急処置

あなたがたのうちで、やけどしたときに氷水や氷で冷やしていない者が、最初に「自然派ママの新常識」を嘲笑しなさい。 恥ずかしながら、今の今まで、やけどをしたらすぐ氷で冷やしていました。kekimura.blog.so-net.ne.jpジャーサラダを喜び勇んで揶揄してい…

G20杭州サミットの晩餐会

九月四日から五日にかけて、G20杭州サミットが開催されました。四日の夜に習近平国家主席が各国の首脳とその配偶者を歓迎する晩餐会を主催しました。そのときの献立です。 1.龙井虾仁(海老の龍井茶炒め)2.西湖醋鱼(草魚の甘酢餡かけ)3.东坡焖肉(…

カフェ・ソスペーゾ

この記事「恩送りコーヒーと江戸しぐさ」のつづきです。 pluit-lapidibus.hatenablog.comウィキペディア日本語版にカフェ・ソスペーゾの項目があります。 カフェ・ソスペーゾ - Wikipedia 中国語では「待用咖啡」と言います。 baike.baidu.comこれから派生して「…

曽野綾子と織田作之助

ともに昭和六年生まれの曾野綾子と有吉佐和子が、前者は「遠来の客たち」(昭二九)後者は「地唄」(昭三一)によってみとめられ、戦後育ちの二十代の女性らしい明るさと大胆さで、歴史と現代に取材した物語を書きだしたころから、女流作家全般の作風に一つの大きな…

8月に読んだ本

今村和宏『わざ:光る授業への案内』(アルク) www.bookpark.ne.jp たぶんこの月に読んだんじゃないかと思いますが、7月かもしれません。実店舗でもオンライン書店でも在庫なしですが、オンデマンド出版で販売されています。「脳細胞の回路を作りやすい」とか…