ポレンタ天国

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実用イタリア語検定がもっとも普及している理由

イタリア語の検定試験はいくつかありますが、日本では実用イタリア語検定が受験者数で他を圧倒しています。この理由について、山本真司氏は山本(2012)*1で次のように考察しておられます。

 

それにはさまざまな理由があるであろうが12、何よりも日本で作られているだけあって、日本人のイタリア語学習者の状況に合わせて作られているという印象が強く、親しみやすい、ということが挙げられるであろう。「4年制大学のイタリア語専門課程卒業程度」(level2) 「大学2年修了程度」(level3) などのようなレベル表示の説明の仕方にもそれは現れている。また、試験の問題の形式も内容も、普通の日本人が学校教育で親しんできたタイプの英語の試験を彷彿させるようなものと思うのは筆者だけではないようである(いわゆる「受験英語」という名前を付され、しばしば、「実践的な英語力を測るのに本当に役に立つのか疑わしい」と言った悪口を言われる、中学・高校で我々が従来馴染んできたような英語教育の影を感じる、といったら、関係者からお叱りを受けるであろうか)。


12 例えば、イタリア政府公認の諸検定試験については、試験実施自体がかなり大掛かりになる(例えばPLIDAのCレベルで200分) であること、また、受験料もかなり高額であること、受験会場が限られていること、などの事情が、これらの試験を敬遠させ、ひいては受験者をイタリア検定協会の検定試験に向けさせる理由となっていると思われる。*2

 

山本氏はなぜ脚注12でなく上記の理由を「何よりも」とお考えになったのでしょう。何らかのアンケートなり調査なり基づいてのことなのでしょうか。私はこれまで脚注12が有力な理由だろうと(、証拠も何もなく、単なる印象として)感じていましたから、不思議に思いました。

 

イタリア語の検定試験はどれを受けるべきか、などどいう相談はこれまで受けたことがありませんし、これからも受けることはないと思いますが、そもそも受けないという選択しだってあっていいはずです。「いったい何の権限がってあって私の語学力に勝手な判断をくだすのか」

 

独学の場合、試験の受験日という締め切りがあるから頑張れる人も多いと思われます。そういう人にとってはどの検定試験であってもかまいません。どんな試験も人の語学力の一面しか測れませんけど、合格できたら励みになりますし、不合格ならさらなる努力を誓えますし、受けやすい試験を受けてはどうでしょうか。

 

イタリア語検定対策4級5級問題集

イタリア語検定対策4級5級問題集

 

 

 

 

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*1:山本真司 (2012). CEFR準拠による言語能力評価:イタリア語教育の現場における運用例と問題

          について

          平成21-23年度 科学研究費補助金研究 基盤研究(B)研究プロジェクト報告書

        「EUおよび日本の高等教育における外国語教育政策と言語能力評価システムの総合的研究」

          http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/EU_kaken/houkokusho.html

*2:同上.68頁