ガラパゴス?
ヨーロッパで「直接(教授)法」が成功をおさめたのは学習者の母語も学習対象言語もインド・ヨーロッパ語族だったからじゃなかろうか、というのは私の思い付きと思い込みです。探しかたが悪いだけで、実証した論文があるにちがいありません。
イタリア語では、イタリア文化会館の作成した『オペラ・プリマ』(朝日出版社)が直接法でまなぶ教科書です。本書で学習した日本語母語話者のかたに感想をうかがってみたく思っております。
イタリア文化会館 東京 イタリア語学校|イタリア語教科書 OPERA PRIMA 音声ファイルダウンロード
といいますのも、私じしんの経験では、ネイティヴ講師につたない外国語でいっしょけんめいに質問し、外国語で説明が帰ってきたところでどうも腑に落ちない、ということがあったからです。それとは反対に、日本語学習者にそのかたの母語で解説してさしあげて、過分な感謝をちょうだいしたこともあります。そのかたの通う日本語学校は直接法で教授するため、どうやら文法の込み入った話を避けているようでした。
「文法訳読法」はラテン語の習得法として編み出された、と本に書いてあります。近年、日本国内で悪名高いようにみえる語学教授法です。ヨーロッパでは、直接法でまなぶラテン語の教科書もあります。
Lingua Latina Per Se Illustrata: Familia Romana
- 作者: Hans H. Orberg
- 出版社/メーカー: Focus Pub R Pullins & Co
- 発売日: 2011/03
- メディア: ペーパーバック
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この文法訳読法は日本国内でのみ残っている方法、というわけでもないようです。たとえば海外での日本語教育にはまだまだ採用されているらしいことは検索結果からうかがえました。一例として
ロシア語における日本語教育支援環境整備に向けて(Adobe PDF)
(11/10/2016追記)
黒田龍之助『語学はやり直せる』(角川oneテーマ21)を読み返したら、こんな一節がありました。
やってみればすぐに分かるが、ダイレクト・メソッド、つまり、外国語を外国語で教育するという方法は、すごくまどろっこしい。…日本語で説明があれば一言で済む。とくに日本の学校のように大人数で授業をする場合には、ダイレクト・メソッドは難しいのではないか。わたしも多少はダイレクト・メソッドを使った経験があるが、その場合の生徒は五人が限界だった。(91頁)*1
pluit-lapidibus.hatenablog.com
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