日本語教育能力試験合格の軌跡
無資格人生に終止符を打つべく、平成27年度の日本語教育能力検定試験を受けました。独学です。参考書、問題集を探すにあたって、このかたのウェッブログが参考になりました。ありがとうございました。
4月下旬~黄金週間
①岡田英夫『日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識50』(アルク)*1
4月下旬から黄金週間にかけて読みました。ほうぼうで必読書として紹介されていますが、買わなくてもよかったです。未知の分野に関する知識を一通り得たいときに、自分は新書より大学の教科書を読みたいたちなので、合わなかったのだと思います。何の印象も残っていません。
(2021年追記:試験との相性を見るためなら、読んでもいいと思います。受けることが決まっている場合は、最初から「赤本」でもいいでしょう)
5月
②ヒューマンアカデミー『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験完全ガイド 第3版』(翔泳社)*2
これを読み始めたのですが、雑務に追われ月日はむなしく流れます……。
CD付 日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第3版 (EXAMPRESS)
- 作者: ヒューマンアカデミー
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2014/02/19
- メディア: 大型本
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9月第4週
さすがにひと月前なので、勉強しないわけにはいきません。上記の『完全ガイド』を、黄金週間のときの続きから再開しました。5月に読んだ箇所はほとんど忘れていたため、再度読みました。都合2回読んだことになります。この本は改版のときだけでなく、増刷に際しても微修正しているようですから、奥付を確認してなるべく新しいものをお求めになったほうがいいかもしれません。章末問題はダレてほとんどしませんでした。
10月第3週
③アルク日本語編集チーム『CD付増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』(アルク)*3
1周しました。「『完全ガイド』を読み流して知識を脳内に入力し、本書を解くことで出力する」作戦でした。ひとつ難をあげておくと、複数のかたが分担して解説を執筆していらっしゃって、なかには首をかしげたくなる解説もあります。作文問題は解かずに解答解説を読んだだけです。思い起こせば、大学受験をしたときに小論文は得意でしたから、わざわざ手を動かすのが億劫でした。
CD付 増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集
- 作者: アルク日本語編集チーム
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2015/04/21
- メディア: 単行本
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前日
④日本国際教育支援協会『平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験問題』(凡人社)*4
時間がなかったので、聴解問題だけ解きました。『完全ガイド』も『合格するための問題集』も、聴解問題には手をつけていません。どうせ本番の人とは声がちがうからあまり意味がなかろうと判断したのです。思ったよりもかなり難しくて、心配になりました。
言うまでもなく、このような過去問の使い方はまちがっています。まさか本試験で、こんなにも未習事項が問われるとは思ってもみませんでした。しかし、考えてみれば当たりまえの話で、試験対策用の書籍はきわめて少ないですから、出題者がそれらを意識しないはずがありません。過去問の正しい使用法については、このかたのウェッブログをごらんください。
(2021年追記:ウェッブログをおやめになったようです。趣旨としては、過去問は先に解け、そして合格点を取るために何が足りないかを知り、すべきことを考えよ、だったように思います。いわゆる「逆算カリキュラム」ですね)
当日
アルファベットによる略称が頭に入っていない自覚がありました。ですから、開始時間までずっと『完全ガイド』の索引と首っぴきでした。昼休みは過去問の聴解問題をもういちど聞きました。試験Ⅲの前は『完全ガイド』と『合格するための問題集』の作文問題の解説を再読しました。
その後
未習事項からの設問の多さに落ち込んで期待していませんでしたが、合格していました。運がよかったです。作文の課題が、日ごろ考えていることでした。おそらく『完全ガイド』や『合格するための問題集』に書かれていないことは、ほかの受験者もできていなかったのでしょう。
わたくしのように金銭に恵まれない人間は独習だけで合格できます。この試験は毎年の合格率が2割程度になるように設計されています。ということは、人を落とすための試験ですから、些末なことがたくさん出題されます。難関私立大学文系が課す社会科の入試問題みたいなもんです。そういう勉強が得意な人にとっては、さほど難しくないでしょう。昼休みの試験会場で雑談が聞こえてきて、現役の日本語教師らしきかたが、5回目だか10回目だかの挑戦だと語っておられました。そのかたはこの手の勉強のやり方をご存じでないんだと思います。運悪く不合格だったとしても、2度目の受験で合格したいところです。2回目ですら、ほとほと嫌気がさしそうな試験ですから。
日本語教師を目指しており、かつ経済的に余裕のあるかたは、養成講座に通われたほうがよさそうです。就職に際して口利きが重要になる場面があるかもしれませんよ(そもそも、会社を早期退職して退職金を手にしているとか、配偶者が正規雇用の職に就いているとかででもないかぎり、日本国内で日本語教師になるのは考えもの、という説もありますが)。
最後に一点
必修事項のなかに、胡散臭いものがまぎれています。たとえば、「高コンテクスト文化と低コンテクスト文化」、「マズローの欲求段階説」、「サピア・ウォーフの仮説」などです。これらは、その分野の専門家から、実証的根拠に基づかないものとして扱われているのではないかと思うのですが。
「日本文化はハイコンテクスト」には実証的根拠がない - こにしき(言葉、日本社会、教育)
日本語教師のかたのウェッブログをいくつか拝読していても、同様に気になる事柄がありました。学界からは「思い付きと思い込みでしかない」とみなされていそうな著作がもてはやされていたり、独創的な「新説」を発表されるかたがいらっしゃったり。学術の世界と実践教育の世界との交流がそれほど盛んではないのでしょうか。 #大きな主語
(2021年追記:その後、この試験の価値を見直しました。確かに怪しい理論も出題されますが、おおむねよく作られていると思います。教える仕事はやはり知識があってこそ。知識が多ければ多いほど、応用の幅が広がります。せっかく試験勉強で知識を得たわけですから、どんどん利用すればいいのです((
)))
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