ポレンタ天国

ちょいデブおやじのダイエット奮闘記です(笑)

七月に読んだ本

かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)

かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)

 老母からよく、「また本ばかり買って(、しょうがない子だね)!」と小言をちょうだいしたものです。老母は学がないので、およそ本というものはどれも似たりよったりだと思っていて、何冊も買うのは無駄遣いだと感じるようです。図書館で借りて読めばいいのか、と聞いてみる気にはなりません。たぶん、本を読む暇があったらもっと生産的なことをしろ、と答えるだろうと思います。

 この短篇集はどうやって楽しんだらよいか。「悪夢的」と言ってかたづけるのも陳腐な手段ですし。翻訳者が巻末に各作品の概要を載せていますが、どれもこれも単なる要約で、なんでわざわざ附けたのかわかりません。訳した人もわかってないんじゃないの、などと下種の勘繰りを入れてしまいます。私ももう若くないので、こういう本を無理しておもしろがるのはやめようと思いました。わからないものはわからない。


成長する教師のための日本語教育ガイドブック〈上〉

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成長する教師のための日本語教育ガイドブック〈下〉

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 対話形式じゃなくて講義調だったなら、分量が圧縮されてよかったのにと思います。対話者の一人が得体のしれない関西弁をつかうのがつらかったです。おもしろおかしく書くのは並大抵の技量では無理ですね。要点だけを読みました。この手の本は何か1点だけ持てばじゅうぶんでしょう。私は国際交流基金の「日本語教授法シリーズ」(ひつじ書房)*1のほうが好みです。


一読巻を措く能わざる面白さという点で、サンドラールの傑作『黄金』は世界文学中ベスト10の上位を占めるものと断言して憚らない。…しちむずかしい理屈抜きで、〈小説読みの面白さ〉を読者の皆さんにもじゅうぶん満喫していただける…(訳者の解説より)

 内容はまさにこのとおりでありますが、ただ、この翻訳はちょっと……。生田耕作と言えば自他ともに認める名翻訳家だと思ってきました。けれども、本作では、原文でおそらく長めの分詞修飾になっているところをじゃんじゃん連用中止法に、動詞が歴史的現在になっているところを律儀に非過去に訳してあるものですから、ひどく読みにくいです。

 生田耕作の訳した『地下鉄のザジ』(中公文庫)に一箇所、誤訳があります。
Napoléon mon cul, réplique Zazie. Il m’intéresse pas du tout, cet enflé, avec son chapeau à la con.

「ナポレオンけつ喰らえ」ザジは剣もほろろに。「ぜんぜん興味ないわよ、あんな水ぶくれ、おまんこみたいな帽子をかぶってさ」*2

conはたしかに女性器の俗称ですが、「莫迦/間抜け」等の意味もあって、ひところ話題になった映画『奇人たちの晩餐会』の原題は<>です。電網のない時代でしたから生田みたくフランスへ行ったことのない人が俗語に精通するのは難しかったのでしょう。

 『地下鉄のザジ』といえば、私には、京都のみなみ会館でよく上映されていた映画、という印象が強いのですが、原作にかなり忠実であることに驚きました。休日のうきうきした気分が横溢しているような気がして、私は好きです。

地下鉄のザジ【HDニューマスター版】 [DVD]

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地下鉄のザジ (中公文庫)

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