(人文・社会科学向け)研究テーマの見つけ方
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「研究題目」でも「研究課題」でも「研究テーマ」でもなんでもいいですが、私はこれを見つけるのが非常に苦手です。日本以外の先進諸国には、就職に有利だからという理由で大学院進学率が上昇している国もあるようです。ということは、とくに研究したいわけではない大学院生が大量に生まれていることになりそうです。そうした院生さんは私同様、research questionの設定に苦労しているんじゃないかと思います。理系や心理学の場合は実験が中心になるかと思います。これから書くものはいわゆる文系、文献・社会調査が研究方法の中心になる人を対象にしています。
石黒圭『この1冊できちんと書ける!論文・レポートの基本』(日本実業出版社)は研究テーマの絞り方について、このように例示しています。
①「日本語の副詞について研究したい。」
↓ ↓ ↓
②「日本語の副詞を留学生がどのように習得するのか、研究したい。」
↓ ↓ ↓
③「日本語の程度副詞を中国人留学生がどのように習得するのか、習得の順序と文体の使い分けという観点から研究したい。」
ここからは私見ですが、①~から②に至るには、大学の教科書程度のものを読むのがいいと思います。当該分野はどのような切り口で研究されているのかを知るためです。
「〇〇学 教科書」や「〇〇学 入門書」、「〇〇学 参考書」で調べればたくさん見つかることでしょう。もっと手っ取り早く見つけたい人はミネルヴァ書房と世界思想社のウェッブ・サイトを見てみましょう。それぞれ「よくわかる〇〇」、「〇〇を学ぶ人のために」という叢書を出しています。社会科学系なら、有斐閣の「有斐閣ストゥディア」等もあります。
②から③へ進むためには、先行研究を読む必要があります。CiNiiなりGoogle Scholarなりで探してください。
- 作者: 石黒圭
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2012/02/23
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「Google Scholar活用法」(pdfです)
http://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/manual/guidance14_gs.pdf
戸田山和久『新版 論文の教室:レポートから卒論まで』(NHK出版[NHKブックス])に、先行研究の読み方があります。曰く、①メウロコ(目から鱗が落ちる)、②ハゲドウ(激しく同意)、③ナツイカ(納得いかない)、④ハゲパツ(激しく反発)の箇所に注意せよ、と。御説御尤も。とはいえ、私のような奴隷の精神構造の持ち主はメウロコばかりで、なかなかナツイカが見つけれません。ナツイカさえあればそこから研究テーマがみつかるのに……。
戸田山はテーマに対して自分から問いをぶつけることを勧めています。
本当に?(信憑性)
どういう意味?(定義)
いつ(から/まで)?(時間)
どこで?(空間)
だれ?(主体)
いかにして?(経緯)
どんなで?(様態)
どうやって?(方法)
なぜ?(因果)
他ではどうか?(比較)
これについては?(特殊化)
これだけか?(一般化)
すべてそうなのか?(限定)
どうすべきか?(当為)
そして疑問点をリゾーム図に表すと道筋が見つかるかもしれません。私はよく白紙を用意してそこに思いついたことをどんどん書き込みます。
- 作者: 戸田山和久
- 出版社/メーカー: NHK出版
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佐々木健一『論文ゼミナール』(東京大学出版会)はなかなか容赦ないです。疑問を持てない人の信じやすさは
突き詰めると、自分の知識、自分が知っていることについて、厳密に考えていない、ということです。ひとから突っ込まれたり、質問されたりすると、とたんに口ごもってしまいます(227頁)
解決策は
友人に何かを説明してみることです。友人に何ら疑問を感じさせないような説明をするには、自分で先回りして問題になりそうなところをチェックする必要があります
から。
- 作者: 佐々木健一
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
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先行研究はどのくらい読むべきでしょうか。白井利明ほか『よくわかる卒論の書き方 第2版』(ミネルヴァ書房)は、卒業論文の参考文献一覧に一頁以上使うことを目安にあげています。一行四十字で三十行を一頁と仮定すると、だいたい30本以上でしょうか。おもに日本語以外の言語で書かれた文献を扱う研究分野はなかなかたいへんですね。その場合は20本ぐらいでいいかもしれません。というのも、私が属した研究室から、卒業論文も修士論文も学会誌に掲載された人がいますが、その論文の参考文献がそのぐらいだったんです。
よくわかる卒論の書き方 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
- 作者: 白井利明,高橋一郎
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2013/02
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