3月に読んだ本
- 作者: 榎本隆司
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2010/05
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 中村光夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
高校生のときの愛読書は各教科の資料集でした。
精選日本史史料集―<学校採用品に付き別冊解答は個人の方へお出しできま
- 出版社/メーカー: 第一学習社
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 外園豊基
- 出版社/メーカー: 第一学習社
- 発売日: 2014/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 加藤道理
- 出版社/メーカー: 浜島書店
- 発売日: 1995/09
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 第一学習社編集部
- 出版社/メーカー: 第一学習社
- 発売日: 2012
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 出版社/メーカー: 東京法令出版
- 発売日: 2014/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 西江雅之
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2012/07/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
著者の専門であるアフリカの言語事情が多いのはうれしいことです。たとえば、ソマリ語に共通の文字表記がなかった時代、ソマリ族の祖国統一運動があって、その集会で筆者がソマリ語話者の
ノートを覗いてみると、ある人は英語で書いていて、隣の人はスワヒリ語で書いているのです。こっちの人はアラビア語で、その隣の人はアムハラ語でといったように、異なった言語を異なった文字で書いているのです。…しかし、話しているのは全員、ソマリア語なんです。
かつて、旧イタリア領ソマリランドの人はイタリア語で手紙を書きました。その手紙が旧英領ソマリランドに届いても、受け取り手はイタリア語がわかりません。ですから、郵便局のまえに翻訳屋がいて、その手紙を英語に翻訳するか、非識字者にその場で読み上げてやるかしていたそうです。
第7講の「第二言語とのつきあい方」を読んではじめて「四人称」の概要がわかりました。第二言語を学習するときには、「知っている単語(=実際に使いこなせる単語)」の輪を少しでも大きくして、「知っているつもりの単語(=見たらわかるけど使いこなせない単語)」の輪との差を少しでも縮めること、そして輪をなるべく大きくすることが大切です。当たり前ですが、近ごろ新しい言語を勉強していることもあって、改めてそうだよなと思いました。
野間正二『[改訂版]小説の読み方/論文の書き方』(昭和堂)
- 作者: 野間正二
- 出版社/メーカー: 昭和堂
- 発売日: 2015/03
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ピエール・ロチの『お菊さん』を私が知ったきっかけは星新一じゃないかと思いますが、確信がありません。芥川の「舞踏会」と合わせて随筆に書いていたような気がします。
こいつ(引用者註:ゴッダード(Goddard)の『有色帝国の隆盛』(The Rise of the Colourd Empires)という架空の本。種本はストッダード(Lothrop Stodard)の『有色人種の高まり(The Rising tide of Color)』やグラント(Madison Grant)の『偉大な人種の消滅(The Passing of the Great Race)』と言われる)は、とても優れた本だよ。一読の価値ありだ。この本が言いたいのは、気をつけないと白人はそのうちに--そのうちにすっかり隅に追いやられてしまうだろうということなんだ。この説は科学的な根拠に基づき、ちゃんと証明をされている。…注意深く見張るのは支配民族である我々の責務だ。さもなければ、どこかよその民族が支配権をさらってしまう。(258頁)
いわゆる黄禍論ですね。これが形を変えて極東に到達している感なきにしもあらず。
- 作者: 小峯和明
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2014/10/31
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
それならばとジャンル別の時系列をやめてテーマ別に再編したのが本書です。順に「古典」「メディア」「戦争」「宗教」「男女・家族」「環境」。 いくつか目についた欠点をあげると、まず、近世と近代のことにほとんど触れていません。「メディア」の人はちょっと出典の扱い方が気になります。「環境」の章は東日本大震災後のあの妙な高揚感(時代の転換点云云かんぬん。大震災はほかにもあるのになぜあれだけが時代を画するかというと、やはり東京も被害があったからなのでしょうか)が色濃く出ています。
ですが、こうした欠点を補ってあまりある魅力があります。従来の「流れ」を説明する本では零れ落ちていた作品がとりあげられているほか、ジャンル別では見えなかった、諸作品の関係が明らかにされます。言われればそうですが、元寇の軍記物は生まれませんでした。
ピーター・グゥラート『忘れ去られた王国:落日の麗江・雲南滞在記』
- 作者: ピーター・グゥラート,西本晃二
- 出版社/メーカー: スタイルノート
- 発売日: 2014/12/05
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
忘れられた王国―一九三〇‐四〇年代の香格里拉(シャングリラ)・麗江
- 作者: ピーターグラード,由井格,Peter Goullart,佐藤維
- 出版社/メーカー: 社会評論社
- 発売日: 2011/06
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 97回
- この商品を含むブログを見る
本書は著者が1939年から49年まで(日中戦争中!~第二次国共内戦)麗江の手工業生産合作社を監督・指導したときの滞在記です。合作社のことを書いた章もありつつ、中心となるのは著者の見聞した雲南各地の生活です。
「援蒋ルート」と言えば一般に、昆明に至るビルマ公路とレド公路を指しますが、カルカッタやボンベイで降ろされた荷物を鉄道でカリンポンに運び、そこからキャラバンがラサを経由して打箭炉(ダルツェンド、康定)へ送るルートがあったそうです。そのためラサは泡沫景気に沸き立ち、西蔵地方政府の長も個人資産の大部分を投資したとのうわさを書き留めています。それが大日本帝国の(大陸のひとびとにしてみれば10年ほども続いていたのに)唐突な降伏によって大損害をこうむったようです。著者がいたときの麗江は昆明へ物資を送る中継地点として一時の繁栄を謳歌していたのでした。
麗江はそれ以外の時期、ずっと「忘れられた部族王国の、平和で小さな首都」でした。それが今や5A級の観光地になって、というのは、忘れられていたから原風景をとどめていられた点で白川郷みたいなものなのかもしれません。
チベット族や母系社会で知られる摩娑人(モソ族、本書の書き方なら呂喜[リュウキ]族)の地域では住民の九割が性病にかかっている、とか郷城や東旺のチベット族はキャラバン強盗で生計を立てているとか、黒彝族(イ族、本書の書き方なら黒ロロ族)は白彝族を奴隷にしていたとか、何と言いますか、まだ近代がおとずれていなかったかのような話がでてきます。人民共和国が成立して以降はこうした問題が解決に向かったようですが。
著者は白系ロシア人なので、各少数民族をほめる理由にアーリア的な風貌をしていることを挙げていて……。あるいはハンセン病にかかる民族は劣等だからと言わんばかりのところや、滅んでもしかたない民族とこれからも発展するだろうと思われる民族を区別する点なども。
そうした点に限界を感じないでもないですが、訳者も指摘する通とおり、全体的にはおおむねやさしいまなざしで描いています。生活体験記としてとても興味深かかったです。
竹田茂生ほか『知的な論文・レポートのためのリサーチ入門』(くろしお出版)
- 作者: 竹田茂生・藤木清
- 出版社/メーカー: くろしお出版
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
社会科学の世界での社会調査と実業の世界での市場調査との間に文化の違いがあって、重視するものが、参与観察と店舗観察調査、ディプス・インタヴュとグループ・インタヴュ、のように異なるそうです。
設計法を身につければ、とりあえずアンケートとインタヴュ、のような愚を犯さずにすめそうです。しなくてもよかった調査、ってけっこうありますよね。
pluit-lapidibus.hatenablog.com