ポレンタ天国

ちょいデブおやじのダイエット奮闘記です(笑)

(随時更新)新米日本語教師に役立つ本

jn1et.com
中国語教授法に関するブックガイド目次 - 須山哲治のサイト - アットウィキ
これらのウェッブ・サイトでほとんど事足りると思いますが、ここから零れ落ちているものをご紹介します。ご参考まで。

右も左もわからないような新人日本語教師の役に立つ参考書です。



1.即効の期待できるもの
東京外国語大学留学生日本語教育センター指導書研究会『直接法で教える日本語』(東京外国語大学出版会)
www.e-hon.ne.jp
導入例が充実しています。


東外大言語モジュール
東外大言語モジュール
日本語を独学する人向けのウェッブ・サイトですが、文法、発音等を教える際の参考にできます。多言語版は英仏露中韓泰土語があります。


漢字のとめ・はね・はらい等をむやみに厳しく指導する人がときおり見受けられますが、楷書に唯一絶対の筆法というものは存在しません。
常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)(平成28年2月29日)」
www.bunka.go.jp

三省堂から書籍としても出版されています。

「学校教育における漢字指導の在り方について」
教育課程部会 国語ワーキンググループ(第5回) 配付資料:文部科学省


彭曦ほか『新日语能力考试N2语法详解:真题分析+模拟测试』(化学工业出版社)
www.amazon.cn
彭曦ほか『新日语能力考试N1语法详解:真题分析+模拟测试』(化学工业出版社)
www.amazon.cn
中国語で書かれた本です。それぞれの文法事項に関連して日本語能力試験の過去問がたくさん収録してあるので、例文や例題を考える手間が省けます。


横溝慎一郎『クラスルーム運営』(日本語教師のためのTIPS77第1巻、くろしお出版)
www.e-hon.ne.jp
教室内の立ち居振る舞いですね。前職で小学校教師をしていた人などは必要ないでしょうが、どうも意外に養成講座などで教えないようなので。このシリーズはどれも気になりますが、まだ読んでいません。


日本語教師のためのパソコン・ショートカット入門(2)
www.n-lab.org
ショートカット・キーを覚えると、ワードやエクセルを使用する際にとても便利です。


情報関連講習会
www.meiji.ac.jp
エクセルのオートフィルや関数などを覚えると作業時間が大幅に短縮できます。電卓の計算結果をエクセルシートに入力しているような人は是非一度ご覧ください。


千島昭宏『合格ナビ!研究計画書の書き方』(東京図書)
www.e-hon.ne.jp
大学院進学を希望する学生は研究計画書を書かなければなりません。*1多くの日本語学校は表紙に魚の絵がある本を備えていると思いますが、学生が使用するならともかく、教える側はあれだけでは心もとないです。本書は量的調査を推しているのがいいですね。


「量的調査?」な人、研究方法について助言できるようになりたい人はこちらもどうぞ。
竹田茂生・藤木清『知的な論文・レポートのためのリサーチ入門』(くろしお出版)
www.e-hon.ne.jp



2.底力を発揮するもの
日本語記述文法研究会『現代日本語文法』(全7巻、くろしお出版)
www.e-hon.ne.jp
文法で不安なことがあれば。


黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書)

はじめての言語学 (講談社現代新書)

はじめての言語学 (講談社現代新書)

この本の参考文献から芋づる式に

定延利之日本語教育能力検定試験に合格するための言語学22』(アルク)
www.e-hon.ne.jp

西田龍雄・編『言語学を学ぶ人のために』(世界思想社)
www.e-hon.ne.jp
と辿っていけます。


規範文法(ただしい日本語とは……みたいなやつ)にとらわれている人は社会言語学の本を読むといいかもしれません。
佐野直子『社会言語学のまなざし』(三元社)
www.e-hon.ne.jp

こちらのほうがやさしそうですが、未読です。
石黒圭『日本語は「空気」が決める:社会言語学入門』(光文社新書)
www.e-hon.ne.jp


ライトバウン、スパダ『言語はどのように学ばれるか:外国語習得・教育に生かす第二言語習得理論』(岩波書店)

言語はどのように学ばれるか――外国語学習・教育に生かす第二言語習得論

言語はどのように学ばれるか――外国語学習・教育に生かす第二言語習得論

 第二言語習得理論に関しては、翻訳した白井恭弘氏が何冊も著していらっしゃいますし、日本語教育に的を絞った本もいくつかありますから、それらをすでに読んだ人は手にとらなくてよいかもしれません。私は権威と権力に弱いので、北米で定番の教科書となっている本書をまず手にとりました。
 日本語教育能力検定試験の対策本でも、この分野に触れています。あらためて書いておくと、ドリル形式の勉強はドリル形式の試験でしか効力を発揮できません。コミュニカティブな言語教育で、意味のある意思疎通を練習しながら最初から使える「手続き的知識」として教えることがたいせつです。もちろん言語の形式に目を向けさせるのも必要ですが、意味のある会話のなかで使うことが学習につながります。白井先生は、大量のインプットと適量のアウトプットを推奨しています。ただし、インプットは翻訳を含みませんし、音読やシャドウイングは厳密にはアウトプットではありません(と言っても、音読やシャドウイングが無意味なわけじゃないようです)。
 「構造的段階づけ」が本文で否定的に扱われています。これは文型積み上げ型の構造シラバスと同義でしょうか。また、文法訳読法も効果が薄いようです。これらが今なお、日本や東アジア、東欧で主流の教え方であるらしく、よくないよねと非難される場面に出くわします。世界的に占有率の高い日本語教科書が文型積み上げ方式である、と後発の教科書も現役の日本語教師も言うのだけれど、それだけ多くの声がありながら、いまだにこの教科書がダントツの人気を誇る。となれば、皆さんこの教科書を使いつつも、コミュニカティブな授業を実践していらっしゃるのでしょうか。
 英語の三人称単数現在形につくsは習得が難しいそうです。それなのに日本国の英語教育では早い段階で導入し、正しい運用を厳しく求める、と翻訳者の方が非難しています。だとすると、ひょっとして日本語の助詞も、習得されるのは遅い段階に属する文法事項でありながら初期の段階から正しい運用を求められすぎる代物なのではないかしらん。


岡本薫『教師のための「クラス・マネジメント」入門:プロのイニシアティブによる改革に向けて』(日本標準)
www.e-hon.ne.jp
 初等中等教育の教員が対象の本ですが、日本語教師が読んでも益するところ大です。
 まず「プロ」=「お金をもらっている人」ではありません。医師が被災地で無償の診察をおこなっても「プロ」であることにかわりありませんから。「プロ」とは「無資格者ではまねのできない『高度な専門的職能』を担う者」のことなのです。一般に高度な職能は高等教育を受けなければ習得できません。近年、日本語学校の採用で「学士」を求められることが増えました。これはおそらく、日本語教師を「プロ」化したい流れがどこかにあるのだろうと思います。
 医師や弁護士は「プロ集団」を形成して、自分たちの権益を守っています。そして、提言・提案をして国民や政府、議会などに働きかけています。日本語学校も団体をつくっています。*2民主主義の制度下で日本語教師が何かを改善したければ、やはり日本語教師自身が「プロ集団」を作って社会の信頼を得る必要があります。*3現状を打破したいときに、他人のせいにして文句を言ってもはじまりません。ルールを変える行動を起こさなくては、誰も聞く耳を持っちゃいません。
 PDCAサイクルを回そう!などと言っても、そもそもP(Plan、計画)の段階でつまずいている事例が多々あります。現状把握と原因究明をじゅうぶんにしないまま即座に対策を考えていることが多いのですが、さらに深刻なのは、目標設定の失敗です。「自立」とか「明るく元気な学生を育てる」とかはたんなるスローガンであって、目標ではありません。達成目標は、定量的にせよ定性的にせよ、結果と比較して測定できるようにしてはじめて、検証が可能になります。そして、教育は、ひとりひとりの学生をある状態にするためのものですから、達成目標は「クラスの半分以上がN2に合格する」みたいなものであってはならず、すべての学生に共通する「最低達成目標」が先に設定されなければなりません。
 あとは、著者の愛読者ならおなじみの、「ルール」と「モラル」を混同するな、ですね。白鵬が変化すると「横綱としていかがなものか」みたいな非難の声が沸き上がりますが、だめならルールで禁止すればよいだけのことです。日本国では内心は常に自由です。そして、行動はルールに反しない限り自由です。これがわかっていないせいで、いじめ問題に対して、ルール違反を罰するかわりに「心の教育」で何とかしようとしてうまくいっていないのは皆様ご存知の通りです。
 それと、「プロ」の仕事は求めらている結果を出せるかどうかが重要なので、結果に結びつかない「心」や「愛情」は不要です。学校教員ひいては公務員の給与を安くしろと主張する人たちがいますよね。そうすれば、「志」の高い人だけが残るから。実際にそんなことになれば、能力の高い人がこういう職を選ばなくなるのがおちです。日本語教師も低賃銀の仕事ですが……。


高等教育機関を出てそのまま教師になった人や会社員経験のない人はこういった本を何かしら読んでみてもいいかもしれません。
老婆心ながらひとつ注意しておきたいのは、この手の本は往々にしてオッカム先生おっしゃるところの「山賊の世界」*4への適応を迫る点です。

日本生産性本部・編『新入社員読本:仕事の基本100のポイント』(第3版、生産性出版)
www.e-hon.ne.jp


日本語教育サクサク
Nihongo kyooiku SAKUSAKU | Web Japanese Books
 twitterが推奨されていますけど、ツイッタランドで人気のある日本語教師はおしなべて

1)SNSを痰壺だとみなしていて、毎日せっせと痰を吐く
2)日本語教育について思いつきと思いこみを語る
3)マス・コミ文化人やアルファブロガー/ツイッタラーから*5仕入れた浅薄な知識で政治、社会、経済のことをわかったつもりになっている
4)「エア軍師」として提言ばかりする

人のどれかなので、フォローすると苛苛がつのります。*6たいへん残念なことですが、影響力の大きな人たちが確たる証拠もなく、非論理的な意見をだらだらと書き散らす業界なんです。*7
 それと、中高年男性日本語教師が三十歳前後の女性日本語教師の囀りにせっせと応答する光景も傍から見ていて……。おっさんは若い女の人とふれあいたくてしかたないのだけれど、話しかける手段が説教か助言しかない、というのはこの業界に限った話ではありません。
 あと、仮想空間で情報に接する際は、その情報を発信する人が誰で媒体が何かをつよく意識しましょう。信頼できない執筆者、媒体の情報を真に受けてああだこうだ埒もないことを語る人が非常に多いです。


著作権なるほど質問箱
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/
例外もありますが、市販の教材をたとえ一部分であってもコピーして学生に配布することは著作権を侵害しています。また「私的使用のための複製」が認められているとはいえ、日本語教師の使用目的が授業で使用する等の場合は「私的使用」にあたらないんじゃないかと思います。


社会保障教育
www.mhlw.go.jp
国内の非常勤職員ないしアジア諸国の教師で所得が低い人も、国民健康保険国民年金を、可能なら国民年金基金も払いつづけたほうが安心できます。じゅうぶんな資産がある方はこのかぎりではありません。

*1:pluit-lapidibus.hatenablog.com

*2:pluit-lapidibus.hatenablog.com

*3:pluit-lapidibus.hatenablog.com

*4:

*5:あるいは書店に並ぶ「ビジネス書」、つまり専門書でない本から。はたまた極論や「逆張り」、デマ、「炎上商法」で注目される人から

*6:pluit-lapidibus.hatenablog.com

*7:まあ、私の老親もそうです。それが「ふつうの人」のありようではあります。