ポレンタ天国

ちょいデブおやじのダイエット奮闘記です(笑)

10月に読んだ本

青木幸弘『消費者行動の知識』(日本経済新聞出版社[日経文庫])
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 たぶんどちらかと言うと、商品なりサービスなりをどうやって売ったらいいか考えながら働いている人にとって役に立つ本です。私がこの分野に明るくないせいですが、どのようにして論文執筆に結びつけたらいいか、ちょっと見通しが立ちませんでした。もうこれは実際に論文をたくさん読むしかなさそうです。あと、この分野は神経科学や心理学にかなり目配せしているとわかりました。それがどこまで妥当なものなのか気になりました。こと教育に限って言うと、脳科学の知見に基づいて云々と謳うものはほとんどがゴミに見えるので。



山田敏弘『国語教師が知っておきたい日本語文法』(くろしお出版)
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 著者は大学で国語教育講座に属しています。かつてはローマで日本語教師をしていたそうです。つまり、国語教育も日本語教育もわかる人が書いた本なので、どちらの人が読んでも使えます。それだけじゃなくて、日本語の文章を上手に書きたい人が読んでも有益だと思います。作文技術を指南する本もけっこうですが、悪文はしばしば文法規則を無視している場合も多いように感じます。私はこの本で文法の知識を整理することができました。このウェッブログをお読みになっている三人の読者の皆さまは、「~を出る」と「~から出る」の違いをご存知でしょうか。



齊藤毅憲・編『経営学を楽しく学ぶ[Ver.3]』(中央経済社)
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 教科書として使用する場合に欠陥があります。参考文献一覧がありません。本書を読んだ後で読むべき本が示されていますから、そちらであたってくれということなのかもしれませんが。この第三版は二千十二年に出ています。東日本大震災後のメディア空間は、「高揚感」と言ってしまうと不適切ですけど、≪今、私たちにできることは何か?≫と使命感に燃えている方が大勢いらっしゃいました。本書でもその熱気が至るところにとどめられていて、あの頃の雰囲気を思い出しました。
 ところどころに「One Point Lesson」というコラムがあります。これもほとんど無内容なので、どうにかしたほうがいいです。

 時代は環境が大きく変化するという「大変」の時代です。…このようなときには小手先の対応ではなく、環境の意味をしっかりとらえて、構造改革リストラクチャリング、リストラ)するぐらいの気持ちを持つことが大切です。(162頁)

だけならまだしも、

かれらはヒト(人間)は材料の「材」とちがって、「宝」であるということから財産の「財」を使うのだという。そこで企業はいい人財をもとめて採用活動を行っているわけである。(181頁)

にいたっては、求職活動する学生に悪い影響を与えそうな気がします。
 やはり自分は社会や経世済民に興味がないのだなとわかったことが収穫でした。



ハンガン『菜食主義者』(クオン)
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 現代日本文学はどんどんミニマルな方へ向かっているように見えて、あまり興味が湧きません。本書を読んだ直後は、韓国文学もそうなっているのかと思って、とりたてて何の感想も抱きませんでした。しかし、あらためて内容を思い出してみると、ちょっとおもしろい構成だなと、考えを新たにしました。本書は三つの中篇小説からなります。それぞれの小説で語り手が変わります。そして、語り手によって視点が変わることで、前作の語り手に対する印象が変わるようになっています。また、各語り手の語る中心対象は題名にある通り菜食主義の女性なのですが、視点の制約ゆえに、この女性の全体像がつかみにくいです。それでも、主題がなんとなく伝わるようにはなっています。主題が浮かび上がってみると、それは決してミニマルなものでなく、日本の近代文学も一貫して立ち向かってきた、「〈個〉としての〈私〉 と 共生する〈私〉」ではないかと思われるのですが、どうでしょうか。



久保田淳・編『日本文学史』(おうふう)
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 近代の部分だけ読みました。はじめに日本の近代に特有の問題、すなわち現実に根を持たない個人の在り方とそれへの反発(義理人情や家族制)を提示し、それに沿った叙述がなされていて、中村光夫風に読みやすかったです。純文学がストイックに西欧流の〈個〉を追求していった一方で、大衆は髷もの小説やチャンバラ映画を好んでいたわけで、ひるがえって二十一世紀の日本を見るに、どうなったかと言うと……。


安藤宏『日本近代小説史』(中央公論新社[中公選書])
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 中学高校の『常用国語便覧』以来、日本文学史の本を幾冊も読んできましたが、まだ知らない本がでてくる。