ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

5、6月に読んだ本

滝浦真人『日本語リテラシー』(放送大学教育振興会)
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最終的にレポートを書けることを目標にした本なのですが、そのうでなくても有益だと思います。文章がうまい=一読して意味が分かる、だと個人的に思っています。文章のうまい人が誰から習うでもなく実践できているのであろうと思われることを説明してくれます。


滝浦真人ほか編『日本語アカデミックライティング』(放送大学教育振興会)
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続編となるこちらの本も読みました。こちらはさらに進んで論文をまとめることが目的ですから、調査方法についても少し詳しく書いてあります(本書だけでは厳しいでしょうが)。とりあえずアンケートでもするか、と思う人を戒める点と、テーマをどう絞るかを具体的に書いてある点とが有難かったです。


日本近代文学会・編『ハンドブック日本近代文学研究の方法』(ひつじ書房)
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どうも西洋文学ともまた少し異なる方法論と用語法があるようで、考えてみればそんなことは当りまえなのですが、新たな知識を得られました。ただ、「フェミニズム」の項を執筆した人がロールズの『正義論』とネオリベラリズムの関係を誤解しているのが気になりました。編者は誰も指摘しなかったのでしょうか。項目の概要を的確にまとめて紹介してくれる人と文学青年の感想文みたいな人とが両方いるのもねえ。あとがきによれば、若手研究者に研究史を踏まえてもらいたく、また卒業論文を執筆する人にも参考なれば等と書かれていますが、これを読んでも卒業論文に役立てるのは難しそうです。私のような門外漢がぼうっと眺めるぶんにはよかったです。


細川英雄・編『考えるための日本語 実践編:総合活動型コミュニケーション能力育成のために』(明石書店)
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いや、このような知の共和国をつくりあげることができるのは早稲田にくるような優秀な留学生だからじゃねえの?という身もふたもない感想をまず抱きましたが、著者の理念には共感します。言いたいことがある人がどんどん言いたいことを発信して他者に理解してもらうための授業で、外国語学習が「市民」形成につながっていく様を紙上で再現しています。このような授業は、私のように特に言いたいことがない人にとってはやや苦痛かもしれません。