ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

11月に読んだ本

町田和彦・編『華麗なるインド系文字』(白水社)

華麗なるインド系文字

華麗なるインド系文字

ウィキペディアを眺めていると、「සිංහල」や「မြန်မာဘာသာ」といったかわいらしい文字に出くわすことがあって、何語かしらと思っていました。本書では、ブラーフミー、梵字デーヴァナーガリー、グルムキー、グジャラーティー、ベンガル、オリヤー、シンハラ、チベットビルマ、ラオ、タイ、クメール、テルグ、カンナダ、マラヤーラム、タミルの各文字が対比一覧リストに並べられています。それ等を眺め、書き順を覚え、文字の豆知識を得る、楽しい本でした。教養とは一人で暇つぶしのできる能力のことである、と言ったのは中島らもでしたが、老後の趣味によさそうです。大学に在籍時、マラヤーナム語の授業が開講されていまして、なんとなく、北米少数民族の言語だろうと誤った推測をしておりました。



細川英雄『増補改訂 研究計画書デザイン』(東京書籍)

増補改訂 研究計画書デザイン 大学院入試から修士論文完成まで

増補改訂 研究計画書デザイン 大学院入試から修士論文完成まで

 序文によると、増補部分はもっぱら「この本の読み方・使い方」とコラムのようです。まあ、これが、本書の旧版を読んだことでいかに人生が変わったか、みたいな礼賛ばかりでして……。生活・仕事と「研究」を統合しようぜ、と言われましても、大学を卒業していれば当然のことなのでは? 皆さん毎日せっせとPDCAサイクルを回しておいでですけれど、あれなどは、大学でいえば、仮説→実験(調査)→考察でしょう。大学の学問は役に立たなかった、と公言する人に私は出会ったことがありませんが*1、もしそういうかたがいらしたら、本書は役に立つと思います。「そもそも」にまでさかのぼって解説してありますから。私は応用技術より根本原理を教えてくれる本のほうが好きですけど、この本はちょっと自分に合いませんでした。

*1:私自身は大学で学んだことが役に立っているとはいえ、研究というものに向いていないこともまた確かなのがつらい。