ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

2016-01-01から1年間の記事一覧

12月に読んだ本

必要に迫られて、精神分析批評をちょっと齧ることにしました。若いころにも、川本晧嗣ほか編『文学の方法』(東京大学出版会)で批評の実践例を読んだことがあります。「なにいってだこいつ」以外の感想が浮かびませんでした。このたびは大浦康介・編『文学を…

11月に読んだ本

町田和彦・編『華麗なるインド系文字』(白水社)華麗なるインド系文字作者: 町田和彦出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (4件) を見るウィキペディアを眺めていると、「සිංහල」や「မြန်မာဘာသာ」とい…

10月に読んだ本

フェデリコ・ガルシーア・ロルカ『血の婚礼』(未來社)血の婚礼 (てすぴす双書 49)作者: F.ガルシア・ロルカ,山田肇,天野二郎出版社/メーカー: 未来社発売日: 1954/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 一般に入手しやすいのは岩波文庫版で…

オンラインで自宅学習

大学受験と言えば、二十世紀末は予備校が駅前のビルを一棟丸ごと使って、その大教室に浪人生がすし詰め、といった印象がありましたが、二十一世紀になりますと、学習塾が雑居ビルのひとつの階を借りたところで現役高校生が専業講師の映像授業を受講ないし大…

外国人技能実習生を受け入れる企業の問題点

問題を起こす企業は、過疎地の零細企業である。法違反を摘発し勧告を求めれば企業はほとんどが倒産する。*1 倒産した事業主は新たな受け入れ先を探す必要があると、厚生労働省は明記しています。*2けれども、そう簡単に次の受け入れ先が見つかっていないらし…

「意識を変えるのに効果があるから○○を導入しましょう!」その2

その1はこちら。 pluit-lapidibus.hatenablog.com ちなみに昨晩の懇親会で一番嬉しかったのは、宴会の最後に「せっかくの命を頂く食事、食べ残しはもったいないから、最後にみんなで一気に食べましょう」と声を上げたら、みんなが賛同してくださって残って…

9月に読んだ本

東京YMCA日本語学校・編『入門日本語教授法』(創拓社) 入門 日本語教授法作者: 東京YMCA日本語学校出版社/メーカー: 創拓社発売日: 1992/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る初級文法の分析、留意点と導入の仕方や練習法からなります。斜めに読ん…

法律上・契約上の根拠がないのに「説明責任を果たせ」と言うような暴論

この「説明責任」という用語は、マスコミ関係者に限らず日本で広く濫用されているものですが、これは、日本人の「ルール感覚欠如」を端的に示す典型例のひとつです。 日本将棋連名の理事会に「そうした責任がある」(説明する義務がある)という根拠は、いっ…

フラッシュモブのせいで離婚

旧聞に属する話題ですが、detail.chiebukuro.yahoo.co.jp この「愚痴」から、伊藤和夫『テーマ別英文読解教室』(研究社)の第7章「レストランの悲劇」に収録された英文を思い出しました。立教大学の入試問題だそうです。出典はKatharine Brushの「Birthday Party」…

火傷の応急処置

あなたがたのうちで、やけどしたときに氷水や氷で冷やしていない者が、最初に「自然派ママの新常識」を嘲笑しなさい。 恥ずかしながら、今の今まで、やけどをしたらすぐ氷で冷やしていました。kekimura.blog.so-net.ne.jpジャーサラダを喜び勇んで揶揄してい…

G20杭州サミットの晩餐会

九月四日から五日にかけて、G20杭州サミットが開催されました。四日の夜に習近平国家主席が各国の首脳とその配偶者を歓迎する晩餐会を主催しました。そのときの献立です。 1.龙井虾仁(海老の龍井茶炒め)2.西湖醋鱼(草魚の甘酢餡かけ)3.东坡焖肉(…

カフェ・ソスペーゾ

この記事「恩送りコーヒーと江戸しぐさ」のつづきです。 pluit-lapidibus.hatenablog.comウィキペディア日本語版にカフェ・ソスペーゾの項目があります。 カフェ・ソスペーゾ - Wikipedia 中国語では「待用咖啡」と言います。 baike.baidu.comこれから派生して「…

曽野綾子と織田作之助

ともに昭和六年生まれの曾野綾子と有吉佐和子が、前者は「遠来の客たち」(昭二九)後者は「地唄」(昭三一)によってみとめられ、戦後育ちの二十代の女性らしい明るさと大胆さで、歴史と現代に取材した物語を書きだしたころから、女流作家全般の作風に一つの大きな…

8月に読んだ本

今村和宏『わざ:光る授業への案内』(アルク) www.bookpark.ne.jp たぶんこの月に読んだんじゃないかと思いますが、7月かもしれません。実店舗でもオンライン書店でも在庫なしですが、オンデマンド出版で販売されています。「脳細胞の回路を作りやすい」とか…

親の責任を問う日本の特殊性

「世間さまが許さない!」案件。 法的には無罪であっても、道徳的に責任があるということがあります。国家が法的に罪を追及するとしたら、道徳的に責任を追及するのはいわば共同体です。その意味で、道徳は、共同体が存続するための規範であるということがで…

ふつうの人生

仮想空間で見つけた方の話です。その方は、昭和の日本ないし現代東アジア諸国の会社員であれば、定年退職していてもおかしくない年齢のときに、時間給労働のかけもちで生計を立てておられ、しかも、お子さんを大学へ進学させておいででした。なにやらどうも…

意識を変えるのに効果があるから○○を導入しましょう!

そして、三つ目が「意識改革にはつながるよ」というタイプです。「たしかに英語力に効果はないかもしれないけど、英語に親しめるようになるよ。英語への抵抗感はなくせるよ。負担感も減るよ。そういう意識改革ができれば英語学習に積極的に取り組むようにな…

イタリア文学でおすすめは何ですか〈第2版〉

長篇小説サンドロ・ヴェロネージ『過去の力』(シーライト・パブリッシング) 過去の力作者: サンドロ・ヴェロネージ,黒井博美,大谷敏子出版社/メーカー: シーライトパブリッシング発売日: 2008/07/26メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログを見る…

ジョージ・オーウェル「イギリスの階級制度」より

There is, however, another noticeable division in the middle class. The old distinction was between the man who is "a gentleman" and the man who is "not a gentleman." In the last thirty years, however, the demands of modern industry, and t…

私の世界史

大学受験を控えた年に地元の学習塾へ通いました。そこで世界史を教えていた講師は、「大学で経済人類学を学び、ドラッカーの社会生態学に依拠した独自の歴史観を持ち」と紹介文にあるでした。ちょうどそのころ、川勝平太の経済史に触れたのもあって、経済学か…

「事実は価値判断とは独立に存在し得ない」というヤツだ

① デジタル部・與那覇里子、ライター・大橋弘基 「急増するネパール人 沖縄に来た理由(1)『日本は素晴らしい国』夢を追い勉学とバイトの日々」 (沖縄タイムス2016年8月6日13:23) www.okinawatimes.co.jpデジタル部・與那覇里子、ライター・大橋弘基 「6畳に2人…

別府(お詫びします)

「飯を食べる中国の男性」(1901頃)。嬉しそうに白米を食べる中国人の男性を捉えました。当時は清朝末期、義和団の乱が起こるなど西洋諸国との軋轢の中で庶民は時代の波に翻弄されていました。書肆ゲンシシャでは古写真や写真集を扱っています。 pic.twitte…

玉音放送のリスニング問題

八月がやって来た。終わりが間近いとはっきり感じられるようになった。警官たちはほとんど姿を見せない。わたしたちは村まで下りていくようになり、村人のほうも顔を覚えてくれ、友人みたいに挨拶を交わすようになった。暑ければ川に泳ぎにいった。こうして…

七月に読んだ本

かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)作者: 残雪,近藤直子,深谷瑞穂,富岡優理子,鷲巣益美,泉朝子,右島真理子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/07/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 老母からよく、「また本ば…

ジョージ・オーウェル「イギリス人の政治観」より

English political thinking is much governed by the word "They." "They" are the higher-ups, the mysterious powers who do things to you against your will. But there is a widespread feeling that "They," though tyrannical, are not omnipotent. …

ホラッチョ黒石

大泉黒石という作家がいました。しばらく前に死んだ俳優さん、大泉晃の父です。『俺の自叙伝』が≪中央公論≫の瀧田樗陰に絶賛され、一躍大正文壇の寵児になりました。 父はロシアの農家の家系の出自、好学の士でペテルブルク大学での法学博士。ロシア皇族の侍…

内定をもらったら入社式までに読む本

ビジネス・ナンセンス事典 (集英社文庫)作者: 中島らも出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/04/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 「仕事が人間を成長させる」とか「仕事で自己実現」とか、よく耳にします。らもさんの定義は、仕事とは会社に自分…

6月に読んだ本

現代日本文学全集〈第79〉十一谷義三郎,田畑修一郎,北条民雄,中島敦集 (1956年)出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1956メディア: ?この商品を含むブログを見る 中村光夫の『日本の現代小説』(岩波新書)を読み返してみると、十一谷も田畑もとりあえず触れただ…

移民は仕事を奪うのか?

www.vox.com 近代の日本は労働力が過剰だったため、自国民を移民として送り出しました。なかには「棄民」とみなされてもしょうがない事例もあります。現代の日本は移民の送り出しも受け入れも消極的ですが、外国人技能実習制度を設けていて、その劣悪な労働…

内村鑑三の英語学習法

一、忍耐なれ。 コロムブスは新世界を発見するの希望を有せしが故に、二十余年の貧と孤独と苦痛を忍べり。…(言語を習得するための)四、五年の辛苦は忍びがたしと言うを得ず。 お、おう……。 二、通達を計れ。 この「通達」は古い用法で、「詳しく知っている」…