ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

12月に読んだ本

池内紀『闘う文豪とナチス・ドイツトーマス・マンの亡命日記』(中央公論新社[中公新書])
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 池内紀はこういうものを書かせたら本当にうまいと思います。日記を紹介する形をとりつつも、見事な評伝になっています。なんというか池内先生の書き方はとても品がよくて、最後まで言い切らないところが好きです。


今井昭夫ほか編『現代ベトナムを知るための60章[第二版]』(明石書店)
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 大陸の影響のたいへん強い国ですが、もちろん似ていない部分も多々あって、支配の末端は隣組みたいな組織であることなどは異なりますよね。あと、女の人は体の線を強調した服を好んで、下着が透けるのも厭わないんだとか。かわいい服はあまり人気が出ないんだそうです。似ている部分は、夫婦共働きが主流だけれども、家の中のことはまだまだ女の領域とされるところなどです。
 惜しむらくは第二版も二千十二年ですから、その後に急増した外国人技能実習生や留学生のことに触れられていません。第三版に期待します。
 あと、本シリーズ共通の欠点として、事実と意見の区別ができない担当者が散見されることが挙げられます。こちらは事実だけ提示してくれればじゅうぶんなのですが。