ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

12月に読んだ本

グイド・ザッカニーニ『中世イタリアの大学生活』(平凡社)
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 語学教師が当時から薄給だったとわかりました……。



溝上慎一(2018)『アクティブラーニング型授業の基本形と生徒の身体性』(「学びと成長の講話シリーズ」第1巻、東信堂)
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 本書を読んで、アクティブラーニングと私のビリーフは全く相容れないことがわかりました。私じしんは民主主義社会を守るための市民性教育という理念を守りたいと思っていいます。アクティブラーニングは教育を「国家、そして個人がこの先生きのこるには」に矮小化しているようにも見えます。
 知識経済の社会が到来するとして、その社会に対応するために教育を変えなければならない、とここまでならまだしも、それにはアクティブラーニングが必要だと言い切るのは論理の飛躍でしょう。アクティブラーニングをしなくてどうやって大転換の時代を乗り切るつもりだ、と煽るのは詐欺師の手口みたいです。
 学校と軍隊の類似はよく言われることだけど、生徒に規律や「身体性」を身につけさせて「型」の徹底にこだわるあたりは「アクティブラーニング道」とでも言えそうで、とても日本的だと思いました。



清水克行(2018)『戦国大名と分国法』(岩波新書新赤版1729、岩波書店)
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 考えてみたら当たり前なんですが、法があるから秩序が安定するというより、ぐだぐだだから法を定めざるをえないんですよね。また、歴史学は史料の解釈を改めていくのが主要な営みであるらしい点が文学と似ているなあとか、そんな辺りがおもしろかったです。



佐藤信弥(2018)『中国古代史研究の最前線』(星海社新書123、星海社)
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 以前読んだこの版元の新書は若い人向けの組版で辛かったのだけど、今回は読みやすかったです。それでも所々太字になっているのは古本に線が引いてあったときのような気持ちになりますが……。
 専門家にとって何が研究課題なのかが分かる本はとても助かります。



ジェイコブ・ソール(2018)『帳簿の世界史』(文春文庫、文藝春秋)
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 簿記の勉強をしたくなる本です。国家厳守も「ふつうの人々」なんですよね。プライマリー・バランスのような見たくもない現実は見たくなかったわけで。