ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

親の責任を問う日本の特殊性

「世間さまが許さない!」案件。 法的には無罪であっても、道徳的に責任があるということがあります。国家が法的に罪を追及するとしたら、道徳的に責任を追及するのはいわば共同体です。その意味で、道徳は、共同体が存続するための規範であるということがで…

ふつうの人生

仮想空間で見つけた方の話です。その方は、昭和の日本ないし現代東アジア諸国の会社員であれば、定年退職していてもおかしくない年齢のときに、時間給労働のかけもちで生計を立てておられ、しかも、お子さんを大学へ進学させておいででした。なにやらどうも…

意識を変えるのに効果があるから○○を導入しましょう!

そして、三つ目が「意識改革にはつながるよ」というタイプです。「たしかに英語力に効果はないかもしれないけど、英語に親しめるようになるよ。英語への抵抗感はなくせるよ。負担感も減るよ。そういう意識改革ができれば英語学習に積極的に取り組むようにな…

イタリア文学でおすすめは何ですか〈第2版〉

長篇小説サンドロ・ヴェロネージ『過去の力』(シーライト・パブリッシング) 過去の力作者: サンドロ・ヴェロネージ,黒井博美,大谷敏子出版社/メーカー: シーライトパブリッシング発売日: 2008/07/26メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログを見る…

ジョージ・オーウェル「イギリスの階級制度」より

There is, however, another noticeable division in the middle class. The old distinction was between the man who is "a gentleman" and the man who is "not a gentleman." In the last thirty years, however, the demands of modern industry, and t…

私の世界史

大学受験を控えた年に地元の学習塾へ通いました。そこで世界史を教えていた講師は、「大学で経済人類学を学び、ドラッカーの社会生態学に依拠した独自の歴史観を持ち」と紹介文にあるでした。ちょうどそのころ、川勝平太の経済史に触れたのもあって、経済学か…

「事実は価値判断とは独立に存在し得ない」というヤツだ

① デジタル部・與那覇里子、ライター・大橋弘基 「急増するネパール人 沖縄に来た理由(1)『日本は素晴らしい国』夢を追い勉学とバイトの日々」 (沖縄タイムス2016年8月6日13:23) www.okinawatimes.co.jpデジタル部・與那覇里子、ライター・大橋弘基 「6畳に2人…

別府(お詫びします)

「飯を食べる中国の男性」(1901頃)。嬉しそうに白米を食べる中国人の男性を捉えました。当時は清朝末期、義和団の乱が起こるなど西洋諸国との軋轢の中で庶民は時代の波に翻弄されていました。書肆ゲンシシャでは古写真や写真集を扱っています。 pic.twitte…

玉音放送のリスニング問題

八月がやって来た。終わりが間近いとはっきり感じられるようになった。警官たちはほとんど姿を見せない。わたしたちは村まで下りていくようになり、村人のほうも顔を覚えてくれ、友人みたいに挨拶を交わすようになった。暑ければ川に泳ぎにいった。こうして…

七月に読んだ本

かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)作者: 残雪,近藤直子,深谷瑞穂,富岡優理子,鷲巣益美,泉朝子,右島真理子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/07/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 老母からよく、「また本ば…

ジョージ・オーウェル「イギリス人の政治観」より

English political thinking is much governed by the word "They." "They" are the higher-ups, the mysterious powers who do things to you against your will. But there is a widespread feeling that "They," though tyrannical, are not omnipotent. …

ホラッチョ黒石

大泉黒石という作家がいました。しばらく前に死んだ俳優さん、大泉晃の父です。『俺の自叙伝』が≪中央公論≫の瀧田樗陰に絶賛され、一躍大正文壇の寵児になりました。 父はロシアの農家の家系の出自、好学の士でペテルブルク大学での法学博士。ロシア皇族の侍…

内定をもらったら入社式までに読む本

ビジネス・ナンセンス事典 (集英社文庫)作者: 中島らも出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/04/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 「仕事が人間を成長させる」とか「仕事で自己実現」とか、よく耳にします。らもさんの定義は、仕事とは会社に自分…

6月に読んだ本

現代日本文学全集〈第79〉十一谷義三郎,田畑修一郎,北条民雄,中島敦集 (1956年)出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1956メディア: ?この商品を含むブログを見る 中村光夫の『日本の現代小説』(岩波新書)を読み返してみると、十一谷も田畑もとりあえず触れただ…

移民は仕事を奪うのか?

www.vox.com 近代の日本は労働力が過剰だったため、自国民を移民として送り出しました。なかには「棄民」とみなされてもしょうがない事例もあります。現代の日本は移民の送り出しも受け入れも消極的ですが、外国人技能実習制度を設けていて、その劣悪な労働…

内村鑑三の英語学習法

一、忍耐なれ。 コロムブスは新世界を発見するの希望を有せしが故に、二十余年の貧と孤独と苦痛を忍べり。…(言語を習得するための)四、五年の辛苦は忍びがたしと言うを得ず。 お、おう……。 二、通達を計れ。 この「通達」は古い用法で、「詳しく知っている」…

熊本のうまい店

2016年5月時点でまだある店①ロアジスhttps://ja-jp.facebook.com/Loasis.suizenjiトラットリア風の店です。伝統的なフランス料理をいくらかくだけた風にしてあります。 ②ロカwww.higonavi.netタベルナ風の店ですが、フォアグラもあります。 ③南阿蘇珈琲http:…

5月後半に読んだ本

飽食終日 宴会奇譚作者: 南條竹則出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2009/10/20メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見るいつも食物談義。太湖の船上レストランに行ってみたいものです。 帰郷者 (中公文庫)作者: 萩原朔太…

かっこいい論文

と聞いて、私がまっさきに思い出すのは福嶋伸洋氏のものです。イタリア学者でこれに近い文章を書く人と言えば、和田忠彦先生だと思います*1。その論文をciniiから拾ってみましょう。*2すべて学会誌に掲載された査読付き論文です。冒頭編 詩を書くという行為…

個性派書店

「街の書店、個性で勝負 人文書専門や作家が本選び」 2016/5/9付 日本経済新聞 夕刊 長引く出版不況の中、店の個性を打ち出した「街の本屋さん」の取り組みが目立つ。大型店とはひと味違う品ぞろえや営業形態で、地域の文化インフラを守ろうとする取り組みを…

新「Twitter出版速報四天王」を勝手に選びました

かつて「Twitter出版速報四天王」と呼ばれた人たちがいました。 www.kinokuniya.co.jpTwitter出版速報四天王【super wakuwaku live talk】その人たちにかわる方々を選ぼうという趣向です。というよりも、私が書籍の新刊情報に疎くなって困ったときに、たいへ…

文化果つるところ

ある地域にいたときのこと、某業界に片足をつっこもうとして結局思いとどまりました。私が断念したあと、その業界のひとびとが色めきたちました。「東京からすごい新人が来た」と。業界は斜陽産業ですが、ときおり新たに参入する人がいます。その新人は、私も…

武雄図書館をほめていた人

実際に、近くに武雄市図書館があれば、まちがいなく僕は通い詰めることでしょう。そして、ここでなら、子どもを育ててもいいと思うかも知れません。…(中略)…この街で育った子どもたちは、きっと情緒豊かで、本が好きな人に育つのではないかと夢想しました。 …

2月から5月半ばにかけて読んだ本

タイピー 南海の愛すべき食人族たち (シリーズ世界の文豪)作者: ハーマン・メルヴィル,中山善之出版社/メーカー: 柏艪舎発売日: 2012/03/20メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る記録文学であるかのようでした。…

『神曲』と『いいなづけ』を学ぶ人のために

ダンテ・アリギエーリの『神曲』とアレッサンドロ・マンゾーニの『いいなづけ』(『婚約者』の邦題もあり)は、いうまでもなくイタリアの二大古典であり、日本文学ならさしずめ紫式部の『源氏物語』と夏目漱石の『こゝろ』といったところでしょうか。ではあり…

『現代議会主義の精神史的状況 他一篇』と比較級

カール・シュミットの『現代議会主義の精神史的状況 他一篇』(岩波文庫)を読みました。現代議会主義の精神史的状況 他一篇 (岩波文庫)作者: カール・シュミット,樋口陽一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/07/16メディア: 文庫この商品を含むブログ (8…

『落語家になるには』

生田誠『なるにはBooks85 落語家になるには』(ぺりかん社)を読みました。少年少女に職業を案内することを目的とした叢書の1冊です。2016年4月現在、版元品切。落語家になるには (なるにはBOOKS)作者: 生田誠出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 1996/11メデ…

イタリア語の読解教材(シリーズ中華教材その②)

文法書でひととおり学習したあと、辞書を引き引き何か読みたいとなったときに、新聞は独特の書き方がされているし、ウンベルト・エーコは長くて骨が折れるし、児童書にさほど興味はないし、という、私のような方がいらっしゃるかもしれません。日本でも読解…

「自称進学校」生のための参考書・問題集ガイド7/6:小論文

・いわゆる「自称進学校」に通う人は、周囲の大学受験経験者の指示にしたがっていると、合格できるもんもできなくなってしまうという不条理な目にあうこともあります。また、「自称進学校」では自分の自由になる時間が少ないせいでたくさんの問題集・参考書…

「自称進学校」生のための参考書・問題集ガイド6/6 センター試験・2次試験対策

・いわゆる「自称進学校」に通う人は、周囲の大学受験経験者の指示にしたがっていると、合格できるもんもできなくなってしまうという不条理な目にあうこともあります。また、「自称進学校」では自分の自由になる時間が少ないせいでたくさんの問題集・参考書…