ポレンタ天国

たぶん読んだ本・見た映画の記録が中心になります

5月に読んだ本

塩出ほか(2017)『社会科学系学生のための基礎数学』共立出版
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数学は手が覚えるまで何回もしないとだめですね。これをした直後はけっこうわかっていたのにまた……



ルネ・デカルト(1997)『方法序説岩波書店[岩波文庫]
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浪人生のときに、現代文の講師が紹介してくれて一度読みました。乔秀岩の訳者後書に触発されて再読したんです。考える方法についてはデカルトがもう答えを出している、『理性を正しく導き、学問において真理を探求するための「方法序説」』なんだから、とか、そんな紹介だったと思います。こういう訓練の場があってもいいのかもしれません。第3部で自由について少し出てきましたが、完全に忘れていました。第4部で伸びるものと伸びないものの区別が出てきました。本訳書の言い方なら、連続した物体と神や魂の観念。



フランソワ・ギゾー(2014)『ヨーロッパ文明史:ローマ帝国の崩壊よりフランス革命にいたる 新装版』みすず書房
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フランス語中級の授業は、これの原書をマツキヨがひたすら訳読していくものでした。日本語訳とはいえ、読みおえられてうれしかったです。

「本問題についてなにか解答の欲しい諸君は、講義の終了ごとに居残って頂けば結構です、わたくしにできる範囲内で喜んで全ての説明をしましょう」(22頁)
200年近く前も大学の講義はそういうものだったんですね。

第5講の、政府は強制ではなく人々の知性に訴えて自由意志でことをなさしむべし、といった一種の徳治主義はどこから来たのでしょうか。

「諸君、これが十字軍の第一の、主要な結果であります。すなわち、精神の解放への大いなる歩み、いっそう広く自由な思想への大いなる進歩です」(157頁)
そういう捉え方なのか。

「ヨーロッパの原始的制度、すなわち古い封建的自由と自治体的自由は社会の組織に失敗しました。社会生活を成り立たせるものは安全と進歩であります。現在の秩序を得せしめず、将来へ向かう運動を得せしめない制度は全て不完全であって、間もなく打ち棄てられるのです」(207頁)

「人間の知性は、人間の意志と同様に、常に活動に急で、障碍に耐えられず、自由と結論を渇望しておりまして、己を圧迫し、拘束する事実を容易に忘却しますが、これを忘却しても、それを破壊することにはならぬのであって、その事実は存続して他日彼に過誤を承認させ、彼を断罪するのです」(221頁)

「ルイ十四世のフランスに根本的に欠けていたものは制度です。すなわちそれ自身で存続し、自発的な行動ができ、抵抗ができる政治的な力です。…ルイ十四世が破壊し尽したのであります。彼は新たな制度をもって、それに代えようと努める意志はありませんでした。…彼は拘束を欲しなかったのです」(266)

河出書房新社・編(2020)『わたしの外国語漂流記:未知なる言葉と格闘した25人の物語』河出書房新社
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「他の人がどうやって書いているのか観察してみると、紙やノートを九〇度回転させて、肘を前に突き出すようにして書く人がいるのに気がつきます」(29頁)
インド系文字の共通項でしょうか。
語学でもなんでも、必要や興味がないと続かないですよね。「チャラい」語学はその限界を従容として受け入れなければなりません。