「意識を変えるのに効果があるから○○を導入しましょう!」その2
その1はこちら。
pluit-lapidibus.hatenablog.com
ちなみに昨晩の懇親会で一番嬉しかったのは、宴会の最後に「せっかくの命を頂く食事、食べ残しはもったいないから、最後にみんなで一気に食べましょう」と声を上げたら、みんなが賛同してくださって残っていた食事がほぼ全てみんなのお腹に入ったこと。命に感謝し、食品ロスを減らす。大事なことです。
— 打越綾子 (@ayakouchikoshi) September 25, 2016
うーん、動物殺含め消費された食品の量は胃袋に入れようがゴミ箱に入れようが同じであり、食品ロスを減らしたいなら最初の発注量を少なめに設定すべきで、すでに満腹に近い人の胃袋に残った食品を押し込むことは違う気がする。。。https://t.co/6jcqZyjjQ2
— シータ (@Perfect_Insider) September 26, 2016
@Perfect_Insider そうですね。客観的にはその通り。でも、社会を動かしていくためには一歩ずつ人の意識を変えていく必要があり、その気づきを伝えていけたら良いなと思ってます。
— 打越綾子 (@ayakouchikoshi) September 26, 2016
残った食事は各自持ち帰って翌日食べるんだったら、総消費食糧の軽減に貢献していると思うが。。。
— シータ (@Perfect_Insider) September 26, 2016
経済学的思考vs意識改革。私自身は、何か目的があるなら、わざわざ迂遠な道をとるより最短距離で達成したいと思います。
最近ですと、ベトナムの小学校で日本語が第1外国語になるという報道がありました。*1たかだか週に数時間で外国語が身につくとは到底思えません(ライトバウンほか『言語はどのように学ばれるか』(岩波書店)に、そのような学習法では習得が難しいとあったような)。ところが、外国語を教える職業の人には、これをきっかけにベトナムの生徒が日本に興味を持ってくれるかもしれないからいいじゃないか、とおっしゃるかたもいます。日本における英語学習が英語嫌いを増やしているかもしれないのと同じことを危惧されるかたもいます。賛否を問わず象徴的な意味合いの強い決定だとみなしているわけです。意識改革なら、それこそ『ドラえもん』を無料配布したほうが効果的であろうとおっしゃるかたもいます。
いま要旨を記した議論の流れが、こちらにまとめられています。
d.hatena.ne.jp
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9月に読んだ本
東京YMCA日本語学校・編『入門日本語教授法』(創拓社)
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土岐雄三『わが山本周五郎』(文春文庫)
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林巧『チャイナタウン発楽園行き:イースト・ミーツ・ウエスト物語』(講談社文庫)
チャイナタウン発楽園行き―イースト・ミーツ・ウエスト物語 (講談社文庫)
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ジョセフ・ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』(NTT出版)
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若かりしころの私は、社会正義の問題など簡単だと考えていた。世界には二種類の人間が――根っからの利己的な人間と、もっと寛大で思いやりのある人間がいるように思われた。世界に不正や苦難があるのは、利己的なやつが自分の利害にかなうよう仕組んだせいなのだ。したがって、この問題の解説法は、もっと思いやりを持つように人々を説得することだ。(346頁)
私も若いときはそう思っていました。さすがに今は承知しています。たいていのことはすっきりはっきりしていません。そして、勉強すればするほど、ますますわからなくなります。社会科学にうといまま馬齢を重ねることに対して、なんとはなしに恥ずかしさを覚えるようになって、いまさら勉強しはじめました。ほんとうにお恥ずかしいことですが、まあ、すぎてしまったことはしょうがないので、これから精々がんばりたいと思います。
右派と左派の主張によくある経済学上の迷信がなぜ誤りかを解説してあるわけですが、代表的なものをいくつかここでご紹介します。①まず、減税は経済を刺激しません。「学校や医療への支出が減って、車や家への支出が増えるだけのことだ。」(104頁)②つぎに、国際貿易に勝ち負けはなく、国家間の国際競争力はどうでもいい(これについては、リカードの比較優位あるいは比較生産費説として高等学校の政治経済で学習したような気もします)。③そして、移民は先住者から仕事を奪わない(労働塊の誤謬)。「移民は労働力の供給を増やす一方で、セーの法則で同時に財の需要も増大する(移民の労働力の供給が財の需要を構成するから)。企業はこの需要増に応じるために生産を拡大しなければならず、もっと多くの労働力が必要になる。だから一国の失業率は、その国の人口とは関係ない」(249頁)。*1④それから、ケインズの主張では、「需要はおそらく大不況のどん底で、金利が可能なかぎり下げたときでなければ、刺激する必要はない」。金融緩和だけではどうにも成果が上がらないときにようやく財政出動≒公共事業をしなさい、ということですかね。となると、今の日本経済もクルーグマンの言うとおり……。⑤あと、企業に課税を強化しても消費者は得しない。どのみち製品やサービスを増税された分だけ値上げしますから。
「第10章 同一賃金」も考えさせられましたが、*2「第11章 富の共有」も、今夏に相対的貧困をめぐる騒動があったために、つよく印象に残りました。「遅延割引」(本書では「割引関数」)や「双曲割引」と呼ばれる概念を用いて、貧困家庭は資金管理能力を欠くので現金給付は効果が薄いことを説明する章です。ディケンズの小説に出てくる昔ながらの「貧窮」と異なり、豊かな社会では「難治性貧困」が課題になります。
ある夫婦は洗濯機が壊れたせいで洗濯に月200ドル、ガス代の滞納分400ドルが払えないために外食代を月に200ドル払っています。さらに、オジー・オズボーンのライヴに161ドル、映画のレンタルに月額50ドル、クラフト・フーヅのマカロニ&チーズに100ドル等々。夫曰く、「利口だったら、もっといい暮らしができただろう。…でもね、ただ、家でじっとしてることができなくて、オッケー、この金で夕食に行こうよと言う。それでおしまい。ポケットに一0ドルあって、家にいるのにうんざりしてたら、外に出てアイスクリームと夕食に一0ドル使ってしまうんだ。」(293頁)
なんとも現実感に満ちた例でして、私のまわりにもこういう人はいます。あるいは程度の差こそあれ、私自身がそうです。*3で、いささか思慮の乏しい人なんて「自己責任」なんだから放っておけ、となって放っておいたら死んでしまう子供がおおぜいでてきて、子供に罪はないだろ、の声が大きくなる。だからと言って、現金を支給しても、このようにたちまち使い果たすことでしょう。そこで、貧困者はもっと情報が必要だ、きちんと教育を受ければ正しい選択をとれるはず。
けれども、そうは問屋が卸さない。「自分から進んで何も学ぼうとしない人を教育することはできない。情報を与えることはできても、それに注意を払わせることはできない。極度の双曲割引が困るのは、長い目で見た便益を達成するために目先の不利に耐えようとしないことだ。教育を身につけることは、まさしくこうした人たちが受け入れようとしない侵害の典型例である。」(303頁)
英語が身につかないと嘆く人は思い当たる点がないでしょうか。じゃあ、どうするか。メヒコのオポルチュニダデス計画に代表される施策は、アリとキリギリスの寓話を千回読み聞かせるかわりに、福祉給付に条件を付けます。生活保護手当をもらうためには、子供をきちんと学校に通わせ、ワクチンを接種させ、定期健康診断を受けさせなければならないようにするのです。無駄遣いをなくすために現金給付から配給切符にすると、「スティグマ」が強まる懸念がありますけど、これならその心配はなさそうです。支給条件の設定はなかなか厄介な気もしますが。
訳者のあとがきによると、本書は2009年にカナダで出版されました。翌年に米国版が刊行され、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏、それに、フランス語、スペイン語、韓国語、中国語の翻訳版も出ているそうです。そして、2012年に日本語版、それから、イタリア語、クロアチア語版も待機中(2012年1月時点で)とか。ライトバウンほか『言語はどのように学ばれるか』(岩波書店)もたしか日本語版より中国語、韓国語、ブルガリア語版のほうが先に出版されていました。経済大国のみならず翻訳大国の名称も譲り渡した感があります。
*1:こちらにも似たようなことを書きました。 pluit-lapidibus.hatenablog.com
*2:pluit-lapidibus.hatenablog.com
*3:岸政彦の『街の人生』(勁草書房)で語る野宿者と、トム・ギルの『毎日あほうだんす』(キョートット出版)に登場する日雇い労働者は対照的な性格ですが、貯蓄の苦手な点は共通しています。
法律上・契約上の根拠がないのに「説明責任を果たせ」と言うような暴論
この「説明責任」という用語は、マスコミ関係者に限らず日本で広く濫用されているものですが、これは、日本人の「ルール感覚欠如」を端的に示す典型例のひとつです。
日本将棋連名の理事会に「そうした責任がある」(説明する義務がある)という根拠は、いったいどこにあるのでしょうか。あらゆる人には、憲法によって「自由」が保障されているのですから、あることを「する責任」や「しない責任」を負うのは、「法令で義務とされている」か、「契約(任意で加入した団体のルール等も含む)で義務とされている」場合のみです。
そうした根拠がないのに、安易に「説明責任がある」などと主張するのは、明らかに憲法が保障する「自由」を侵害しようとしていますが、憲法ルールを無視した「説明責任」の濫用は、日本のマスコミに共通する問題です。
これまで私が議論したジャーナリストの多くは、「説明責任」の根拠についての説明に困ると、苦し紛れに「法律上・契約上の根拠はなくても、道義的責任がある」と主張するのが常でした。しかし、憲法にはいかなる「共通の道義」も規定されてはいません。それは、思想・信条・良心・価値観・倫理観などに属するものであって、憲法は「自由だ」と規定しています。「道義的責任がある」などと主張する人は、要するに「私の倫理観に反している」と言っているだけなのです。*1
というわけでして、「説明責任」でニュース検索してますと、❝説明責任を果たせ❞ ですとか、❝【名詞】に説明責任がある❞ ですとかが表示されます*2が、本当にそうなのかどうか、ちょっと考えてみてもよさそうです。同じような言い回しで、俗に言う「主語が大きい」事例に含まれるものに、❝国民が納得しない❞ もありますね。それは世論調査した結果を受けてのご発言なのでしょうか、っと。法的に問題ない事柄についてそもそも国民=世間=私に説明する義務など生じないのに説明責任を果たせと言われるわ、したらしたで説明が二転三転しただのと判定されるわ、しかも、もとはと言えば敵愾心や差別意識から引き起こされたのに、そこには目をつぶる人たちから危機対応能力が低いと評価されるわ、逆の立場だったらあいつらはもっとひどく非難していたはずだとわざわざ仮定した条件のもとでくさされるわで、まあ、たいへんですね、とは。諺に「理屈と膏薬はどこへでもつく」とあるように、人間が論理的と思っているものが、まず嫌いという感情があって、そこに理由づけをしただけだけにすぎないこともしばしばあります。その感情を納得させるための理屈を探し求める旅に出ることも。実体としての世間さまは今どういった雰囲気なんでしょうかね。ご存知のとおり、仮想空間では声の大きな人が実際以上によく目立ちますから、そこからだけで時勢を感じとったり、社会の風潮を読みとったりする愚は慎みたいものです。
世間さまが許さない!―「日本的モラリズム」対「自由と民主主義」 (ちくま新書)
- 作者: 岡本薫
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*1:【メディア評価】岡本薫氏 第3話「根拠なき"説明責任"の濫用」 www.genron-npo.net
*2:“説明責任が求められる”などといった、一風変わった表現も見受けられます。
フラッシュモブのせいで離婚
旧聞に属する話題ですが、
この「愚痴」から、伊藤和夫『テーマ別英文読解教室』(研究社)の第7章「レストランの悲劇」に収録された英文を思い出しました。立教大学の入試問題だそうです。出典はKatharine Brushの「Birthday Party」で、<<ザ・ニューヨーカー>>の千九百四十六年三月十六日号に掲載されました。当該誌の有料会員はこちらで読めます。
米国ではよく教材にされているらしく、全文とレポート例が仮想空間にごろごろと転がっ(爆発音。以下聴取不能)
梗概を記します。三十代後半の夫婦がレストランで食事していた。食事がすむと突然、給仕頭がケーキを持ってあらわれ、バイオリン弾きが演奏をはじめる。その日は夫の誕生日だったのだ。周りの客も拍手して祝う。ところが、夫は妻に立腹し、小声で叱責して、あたりは気まずい雰囲気に包まれる。「私」がそっと窺うと、妻は鍔のひろい帽子のしたで声を押し殺して泣いていた……。
散文的な夫の無粋なふるまいを非難しているように見えます。深読みすると、終戦後の米国社会が即物的になっていることを、戦争成金の男に象徴させたのかもしれない。“The man had a round, self-satisfied face.”との描写から、伊藤和夫は容赦なく、「問題文から何を想像するかは読者の自由だが、この解説の筆者の場合、このあたりでは、バブル経済のさなか、もうかってもうかって笑いが止まらぬ株屋あたりを想像している」*1
くだらぬ私見を述べますと。越えてほしくない一線は誰しもあります。それがどこにあるかは人それぞれ。自分の一線を判断基準に、そんなことぐらいでと言ってしまうのは……。
- 作者: 伊藤和夫
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*1:今日の人権意識に照らして不当・不適切と思われる語句や表現がありますが、時代的背景と作品の価値とにかんがみ、そのままとしました。
火傷の応急処置
あなたがたのうちで、やけどしたときに氷水や氷で冷やしていない者が、最初に「自然派ママの新常識」を嘲笑しなさい。
恥ずかしながら、今の今まで、やけどをしたらすぐ氷で冷やしていました。
ジャーサラダを喜び勇んで揶揄していた人たちは、卵かけごはんは揶揄しないのか。ynabeせんせいも言ってたが、実際のところは、ジャーサラダが嫌いなんじゃなくて、ジャーサラダ志向の人が嫌いなんだろう。
— Takunori TERASAWA (@tera_sawa) September 9, 2016
たしかにこうした問題点もあるのかもわかりません。
「馬鹿にしても説得できない」とか、お優しい反応が多くて「わかってねえな」と思う。こうやってクッソ馬鹿な記事を定期的に書いて、それでも信じる馬鹿だけ相手に商売するためのふるい落としだよこれ。 / “自然派ママの新常識 …” https://t.co/HcImbPALMg #トンデモ
— ワッシュ (@washburn1975) September 8, 2016
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G20杭州サミットの晩餐会
九月四日から五日にかけて、G20杭州サミットが開催されました。四日の夜に習近平国家主席が各国の首脳とその配偶者を歓迎する晩餐会を主催しました。そのときの献立です。
1.龙井虾仁(海老の龍井茶炒め)
2.西湖醋鱼(草魚の甘酢餡かけ)
3.东坡焖肉(豚の角煮)
4.叫化童鸡(乞食鶏)
5.干炸响铃(湯葉の揚巻)
6.西湖鱼元(淡水魚のつみれ)
7.蜜汁火方(金華ハムの蜜煮)
9.鳕鱼狮子头(鱈のつみれ)
10.抹茶焗大虾(大海老の抹茶蒸し)
11.笋干老鸭煲(メンマと鶏肉煮込み)
12.粽香花溪鳖(鼈の粽)
13.千岛扒鱼脸(黒鰱の頭のポタージュ)
14.桂花糯米藕(蓮根の糯米詰め)
15.香烤鲳鱼(焼き真魚鰹)
16.双味帝皇蟹(ふたつの味の楚蟹)
17.桂花水晶糕(金木犀の寒天)
18.蟹黄小笼包(蟹味噌の小籠包)
19.龙井问茶(「龍井問茶」の龍井茶)
20.木莲芯(木蓮団子)
典拠はこちらに。実物の写真もあります。
「G20杭州峰会“国宴”吃些啥? 主打精致杭帮菜」(2016年09月04日20:57 央视)
news.sina.com.cn
- 作者: 南條竹則
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カフェ・ソスペーゾ
この記事「恩送りコーヒーと江戸しぐさ」のつづきです。
pluit-lapidibus.hatenablog.com
ウィキペディア日本語版にカフェ・ソスペーゾの項目があります。
カフェ・ソスペーゾ - Wikipedia
中国語では「待用咖啡」と言います。
baike.baidu.com
これから派生して「待用快餐」もあります。
待用快餐_人民中国
日本にもあればいいな、と思うのですが、どうもそれらしきものを見つけられませんでした。
しいて言えば、いわゆる「こども食堂」がそれに近いかもしれません。
www.asahi.com
類似の慈善事業として、「Table for Two」がありました。こちらは、協賛企業で飲食する、ないし、飲食物を購入すると一部が開発途上国の給食になるようです。
アフリカの子どもたちに給食を TABLE FOR TWO公式サイト
「保留●●」という名称でかまわないので、珈琲でも衣服でもこの慈善事業が日本国にあれば、積極的に活用したいところですが#自分でやれ*1
枝元なほみの簡単レシピ1: ビッグイシュー連載レシピ集 枝元なほみの簡単レシピシリーズ
- 作者: 枝元なほみ
- 出版社/メーカー: 株式会社スターフィッシュ・エスディ販売
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アマトリーチェの地震を受けて、日本でもアマトリチャーナと絡めた募金活動がはじまっています。
「イタリア中部地震支援情報」
セキュリティチェックが必要です
これもフェイスブックでなくwordpress等で制作してくださったら、なおよかったのですが。#自分でやれ